ごまウシの頭の体操

認知症、緩和ケアなどが私の仕事の専らですが、これらに限らず、私が得た知見を広く情報発信したいと思います。インスタグラムも始めてみました。https://www.instagram.com/goma.ushi/

救急車の利用について再検討を

 ごまウシの診療においても救急車を受け入れることは時々あります。メンタルでの救急医療も、身体ではないため、緊急性は捉え方次第で「ない」と解釈されかねないときもあるのですが、その筋のごまウシとしては、第三者的にそのように感じたとしても、必要性が高い事はほとんどと言ってよいでしょう。

 ただ、時々、それはちょっと…どうかな…と思える搬送依頼があったりします。

 

 救急車は、もちろん救急隊によって日々活動が支えられている訳なのですが、絶対条件に「一度、依頼を受けたら如何なる理由であろうとも、生きている限り依頼者が撤回しない限り搬送を行う」と言うことがあります。「生きている」もポイントではありますが、「撤回しない限り」という原則があるため、どれほど、救急車搬送の必要性がないと救急隊が感じたとしても、搬送先病院を探して連絡をします。搬送先が決定して、搬送し終わるまで業務は終わらないことになっています。ちなみに、ディープなお話しですが「生きていない」場合は、その事実の確認は「医師」でなければ診断はしてはいけない事になっているため、「明らか」でない場合は、必ず搬送を行います。「明らか」な場合は、警察のお仕事に引き継がれるという事になります。

 

 さて、救急搬送の依頼には、様々な、事情があることは事実です。びっくりするような身体の変調があり、どうしたらいいのか分からないときにパニック症状の時に救急車を呼ぶというのが一般的かと思います。その結果が重症であろうとも軽症であろうとも、その判断は搬送先の医師が判断することになります。

 また、一方で、じわじわと調子が悪くなり、このままでは耐えられないと言うときに救急車を呼ぶこともあります。このときも搬送先の医師が軽症・重症の判定を行います。

 救急搬送において明らかに軽少な場合は海外では「実費請求」と言うことも決まっているところがありますが、軽症か重症かの判断は最終的に医師が判断することとなるため、依頼者が軽症か重症か判断することは、本来できないこととなっているため、「実費請求」は日本の今の医療情勢では、やはり、現実化することはないと思われます。

 症状的な軽症・重症の判断は「軽症感」があっても、特に深刻な場合もあります。

 

 ただ、以下のような救急依頼は、厳に慎んで頂くことが重要かと思います。

 

・天気が悪いので、Door to Doorのように利用する。

・普段の通院だが、足がないから利用する。

・時間内にどうしても受診できなかったので、強引にみてもらうために利用する。

・病院とトラブルでNG対応をされてしまったから、救急車で行けばみてもらえると考えて利用する。

・普通に受診すると待たされるから利用する。

 

 このような事例ばかりではないとは思いますが、全ての理由が体調の理由でないことがポイントです。「念のため」というのも、よく控えてくれと言われることもありますが、「念のため」の裏側にある症状の判断が軽症か重症か判断できているわけではないため、「念のため」の搬送依頼を全て控えるというのは正しいとは言いにくいところもあります。

 「施設等で転んで頭を強くぶつけたけど、本人は大丈夫と言っているが、念のために、救急依頼した」

 なんて言うのは、適切な判断と言えます。

 

 救急車を1回呼んで病院まで搬送を完了するまでの一連のプロセスに費用として「平均11万円」かかっているという事を耳にしたことがあります。もちろんこれは全て税金でまかなわれているものです。大切な税金ですので、やはり、体調とは関係のない物理的な自己都合での搬送依頼は、しないように…と言うのが医療に関わるごまウシとしての思いになります。