ごまウシの相談対応の中には、このような事で困っていらっしゃる方が多くおられます。とても大変だなとつくづく同情しつつ、力強さに感心をしている方が多いことも確かです。
一般的には責任感が強い。
と言われる存在の方々です。
ごまウシとしてもとてもすばらしい方々ではあるのですが、ご自身にとってはとても厳しい方々でもあるなと言えるところがあります。その多くの方が、実は、共通した課題を持っていらっしゃることがあります。
それが…
「信用できない」
と言う心境ですね。
前向きな意味では、何でも自分が積極的に取り組むという点ではすばらしいところではあるのですが、このような方の元では、実は部下がなかなか成長できなかったりします。もちろん、「悪意」なんて言うものは微塵も存在せず、自身の任務を全うしようと強い責任感で行動しているわけですが…しかしそこが問題になってしまいます。
部下に、ある仕事をしてもらおうと、依頼をしておいても、「きちんとやれるだろうか?」と心配して、目が離せなくなっていて、ちょっとその部下が困惑していたりすると、すぐに、助け船を出して、結局依頼しておきながら自分でやってしまうと言う事だったりします。部下からすると、困ったときにすぐ助けてくれるという事でとても助かっているでしょうし、困ったことをひょいひょいとこなしている力強さに感動するでしょう。
そうすると…
「困ったら助けてくれる」
と言うことから、自己解決する機会が減ってしまい、ちょっとしたことでもすぐ頼ってしまうようになってしまいます。結果的には、部下に依頼して仕事分担をさせておきながら、結局自分でやってしまうことで分担できていない自体になり、仕事がどんどん膨れ上がってしまう結果となってしまいます。
さて、どうして、助けてしまうのでしょう?
そこが、実は、「困っているから助けてあげている」と感じているだけではないというところが鍵となります。
部下が困る=仕事が滞る=他に困る人が出てくる→任せてられないので自分がやる
こんな感じになってしまいます。すなわち、部下が見えないところで自分が依頼した事柄をやってもらうことに対して、信用できないので、ついつい、少しでも困っていそうだと手を出してしまうと言う事になってしまうわけです。
頼んだばかりの時はもちろん、引き受けた部下としても「よちよち歩き」の状態ですので、助けてあげないといけない部分は多々ありますが、最後には、責任ごと引き受けていただく必要が出てきますよね。その時は、多少困惑していても自己解決してもらわないと、責任まで持ってもらうわけにはいかなくなると言う事となります。その責任を持ってもらうことが託せられないために、口を出したり手助けをしてしまったりと…結局抱え込んでしまうのが、まさに、抱え込み症になります。
抱え込み症の方は、このように、背後には、見えないところで行われることについての強い不安感があり、それを行うひとに対して、どうしても信用することができないと言う心境に陥ってしまいます。そのため、抱え込んでしまうわけですが、それがさらに言えば、抱え込むだけの多忙なストレスで済まないところがあります。「人を信用できない」は同時に「自分を信用できない」と言うこともあり、抱え込んでおきながら、自分が上手にできるかどうかに対しての自信が持てていなかったりします。
ある意味、悪循環ですよね。
なかなか解釈を変えるのは難しいのですが、託したものについては託したのだから、自分の手から離れたものと割り切ること。そして、見えないところで何かあっても、見えないのだから、仕方がないと開き直ること。これらが大切であると、アドバイスはしておりますが…。
世の中…開き直ることがとても難しいという課題にぶつかってしまいますね。