ごまウシの頭の体操

認知症、緩和ケアなどが私の仕事の専らですが、これらに限らず、私が得た知見を広く情報発信したいと思います。

アパシー

 この言葉を耳にする方は、相当詳しい方々に該当するかと思いますが、耳にしたことありますか?

 ごまウシの診療分野においては、よく見かける症状でもあります。ちょっと今回は解説をしてみようと思います。

 

 アパシー;apathyと英語では書きますが、日本語に訳すと「無為」という言葉になります。普段あまり使わない言葉ですね。日常生活の中で、アパシーを感じる人はあまりいないのではないかと思いますが、身体的な問題を抱えている場合や、精神的に問題を抱えている場合には、遭遇することがある症状です。

 

 無為と言うだけあって、症状としては、「何もしない」と言うことになります。「何も出来ない」という言葉とは若干異なったりします。雰囲気としてイメージしやすい描写としては、「ぼんやりと漫然と1日何もせずに過ごしている様」なんですよね。

 ただし、怠けているのではないのです。楽をするとかサボるとかそういう発想は存在しません。頭の中では、むしろ何も考えておらず、真っ白な状態といった方が良いでしょう。口をあんぐりと開けた状態で呆然としているような雰囲気ともとれましょう。

 

 意欲がない、と言う表現でもありますが、何もしないことを困っているわけではありません。そのため、アパシーでは決して、何か困ったと訴えるわけではありません。しかも何もしないことにより、生活が壊れてしまっても気にしません。

 

 こんな感じで、何もしない、困っていない、生活が壊れていくような状態をアパシーと言っております。

 

 これは、実は前頭葉機能の低下によって発生する現象の一つで、決して怠けているわけではないので、叱ったりしても何も効果はありません。しかし、そのまま放っていてしまうと、活動をしないことにより、脳の「廃用」が進んでしまいさらに認知機能の低下が進んでしまうこととなります。

 

 しかし、能力的には、何も出来ないわけではないため、なんとか上手に引っ張り出すことが要となります。これがなかなか難しいので、多くの人と協議しながら知恵を絞り出すようなことをしていたりします。無理矢理は出来ませんが、そのまま、何もしないことを容認するわけにもいきません…。

 

 ごまウシの悩む、一つの症状のお話でした。