ごまウシの頭の体操

認知症、緩和ケアなどが私の仕事の専らですが、これらに限らず、私が得た知見を広く情報発信したいと思います。

認知症の経過⑦

 本日は、認知症シリーズの最後のお話になります。今回は最重度の段階についてのお話を触れたいと思います。

 

 重度の認知症になった段階で、身体的介護が格段に増加してくると言う事について触れてきました。最重度になると、今度は、一人では生命的な保持すら難しくなる段階になります。

 

 まず、最重度の段階では、歩き回れる段階ではなくなってしまうため、車椅子、あるいはベッドで過ごすことが多くなります。そして、会話としては、声を上げる…と言った程度になり、断片的に単語のようなものが登場する程度です。単語と言っても、とっさに出てくる言葉で「応答言語」と言われる言葉で、例えば、熱いものを触ったときに「あちっ!」と言った感じで、何ら思考を働かせることなくとっさに出てくるような状況反応性の言葉に限られてきてしまいます。

 意味が分からないまま叫んでいたり、歌を歌っていたりと言ったように、発する声に意味を理解することができない状況となります。

 また、さらに発展すると、1日を通して何もしないという状況となり、食事も自分でとれずに介護をすることでなんとなく食べるといった状況となります。もちろん完全失禁状態で、介護抵抗も徐々になくなり、なされるがままといった状態となります。

 このように、何もせずに、過ごしてしまう状況のことを「失外套症候群」と言われる状態で、高次機能自体が完全に崩壊してしまったという状況と言われています。

 

 そして、最も困った症状として、「食の概念」を失い事があります。この章尉髪止められる方と認められない方通られますが、この食という事が分からなくなると、介護で食事を口に運んだとしても、飲み込むという動作につながらず、結果的に吐き出してしまうと言う状況となります。要するに、口の中に入ったものを食べ物としての認識ができない状態となり、異物が口に入ったのでただ吐き出しているだけ…と言う状態になります。本来ならば、のどに届くとほぼ反射的に飲み込み動作につながるのですが、それすらもつながらなくなってしまいます。

 食の概念を失ってしまうと、一気に衰弱してしまい、医療的な介入がなければ、このままいわゆる看取りという状況となります。

 

 食だけではありません、全ての神経活動的なものが低下するため、姿勢を変えるだけで血圧がダイナミックに変動し、失神することも増えてしまうじたいもあり、また、動かないことにより褥瘡の発生が頻繁に認められ、また、反射の低下により飲み込みに失敗し、誤嚥性肺炎を発症、整理機能的な低下がさらに免疫機能の低下を来し尿路感染など感染症の兆候も頻繁に認められるようになります。

 最終的にはこのような身体合併が多発し、徐々に衰弱し、最期の段階を迎えることとなります。

 

 最重度の認知症は、いわゆる終末期と言える段階で、確かに、介護の負担は身体介護に限定されてしまいますが、何もしてあげられないというサポーター側のつらさを感じてしまう状況ともなります。

 

 認知症という病気は、このように、徐々に認知機能からむしばみ始め、最終的には全身の衰弱を来す慢性疾患であり、現時点では、治癒させる方法はありません。

 医療者としては、やはり、この認知症という病気に対して、いち早く介入し、そして、それぞれの方が、楽しく幸せに、活発に過ごすことで、脳の衰弱に抵抗する回復力を養い、可能な限り進行を遅らせることが、最大のテーマと考えています。新しい医薬品も登場してきますが、やはり、決して、回復させる薬ではありません。回復させるのは、筋トレならぬ脳トレ以外他ならないのです。脳トレ自体は、様々なグッズがありますが、それだけでは足りず、日々の生活に活気ある状態を保つことに重点を同時に置く必要があります。認知機能が低下すればするほど自発性が低下してきます。低下する前に、どれだけ、活動できるかが勝負ではないでしょうか…。

 ごまウシはそのような認知症の特に初期の段階での進行をどれだけ、抑えることができるかを常々考えながら活動をしております。

 

 なお、今回のお話の流れでは、和集合的なお話をさせていただいたこともあり、レビー小体型認知症におけるパーキンソン症状や自律神経障害、また、神経難病に該当するシュシュの特殊な認知症、脳血管性認知症脳卒中関連の合併症についての話題は割愛しました。また機会があれば触れてみようと思います。