ごまウシが先日参加をした、アルツハイマー研究会もそうですが、認知症学会の学会誌でも、取り上げられているところの話題の中で、これからの認知症診療についてのお話が増えてきております。
新しい診断技術が増えるだけでは、医療水準は必ずしも前に進むわけではないのですが、治療方法がそこに加わると大きく前進する傾向が出てきます。
今回は治療方法については、まだ触れませんが、診断技術についてのお話を触れていこうと思います。
現時点で現実的に実現しつつあるのは、認知症の中でもあくまでアルツハイマー型認知症に限定したものであることは前置きとして触れておきます。
現在は、アルツハイマー型認知症の疾患病理というのが徐々に明瞭になってきています。その結果として、アルツハイマー型認知症は、結果として、アミロイドβと言われる物質の脳内蓄積がおこり、その結果として脳神経が壊れていく病気であるという事が分かってきています。治療ターゲットはまさにそのあたりを補正するものではあるのですが、今までは、そちらにアプローチができていませんでした。
さて、脳内でアミロイドβが蓄積していることを確認することでアルツハイマー型認知症の病態を把握するという事が当然診断のためのターゲットとして芽生えてくるわけですが、このアルツハイマー病理については、既に20年以上前から知られているところではあったのですが、そのアミロイドβを適切に検出していく技術は、なかなか難しいものでした。
現在のところでは、あくまで保険診療に限定して言えば、CTやMRIと言った画像検査があり、脳の萎縮のパターンから診断をしているところが専らとなります。もう少し高額な検査では、SPECTと言う検査があり、アルツハイマー型認知症となれば、低下してくる血流パターンをこの検査では見出すことで診断するというものです。
以上のような診断方法であるため、実際は、アミロイドβについては、全く検出することなく、脳の血流および形態の変化から診断をしているという事になるため、直接診断というわけではないため、症状と画像検査とを合わせて診断をしていても、結果的には、死亡後の病理解剖では、30%近く違う病理である可能性があるという指摘があります。もちろん、アルツハイマーと診断されていない方がアルツハイマーの病理を持っていたと言う肩も合わせてですので、現在のアルツハイマーの診断の30%我麻違っているという事を意味しているものではありません。
これから先の診断技術としては、この検査にアミロイドPETと言う検査で、アミロイドの蓄積状態を画像で確認する検査と、髄液中(血液中)アミロイドβの組成分析の結果としてアルツハイマータイプの塑性を見出すという検査とが組み合わされていく可能性が高まっています。
まさに、アルツハイマー病理をそのまま探る検査となるため、検査診断技術がかなり向上してくるものとなります。その結果として、これらの検査で「陽性」となった場合のアルツハイマーである可能性が極めて高くなると言うことが言えます。
専門科の中では、このような診断技術の向上はよいことではありますが、やはり、偽陽性、偽陰性が存在するため、今後登場する高額な治療や、診断によるこれからの人生に与える影響などを考えると、検査の精度が上がったからと言って全て検査に依存するのは危険ではないかという意見が専らとなっています。
ごまウシも思うところとしても、今までも画像検査などの検査をしない状態でもじっくりお話を伺っていくと、アルツハイマーについての診断はかなりの確率で正しく診断できていた状況があります。検査技術に頼りすぎてもよろしくないというのがそういった今までの歴史から得られた技術を全てなしにすることがむしろ危険であるという事の軽症になるかと思います。
AI技術が進むと、画像や検査によるデータを処理する能力がさらに向上し、それだけでも確率○○%でという形で診断をしてくる可能性がありますが、この○○%の正確性をさらに向上させるのがやはり、まだまだ人間の技能が必要になりそうですね。
ごまウシのお仕事の将来像を考えながら、日々の診療のスタイルのブラッシュアップを図っているところでした。