ごまウシの頭の体操

認知症、緩和ケアなどが私の仕事の専らですが、これらに限らず、私が得た知見を広く情報発信したいと思います。

認知症の終末期医療

 昨日までは、認知症の経過について触れてきました。

 そのまま、認知症について直面していたり関わっていたりしている方からすると、げんなりする部分も多かったのではないかと思います。とても残念なことに、認知症は現時点では進行性の疾患という事になってしまいます。そのため、その経過をお話をすれば、どうしても、暗いお話が多くなってしまいます。

 さて、今回においても終末期という事は、あまり明るいお話ではありませんが、実は専門科の中でも、意見が分かれているところがあるため、少し触れてみようと思います。

 

 認知症の治療と言えば、様々な付随症状に対する薬物療法は、差し置いて、原則に認知症そのものへの治療アプローチは、アルツハイマー認知症およびレビー小体型認知症保険診療において認可されている医薬品だけとなります。

 

ドネペジル

ガランタミン

リバスチグミン

メマンチン

ゾミサミド

 

 ただし、この中でゾミサミドは、レビー小体型認知症パーキンソン病との相関関係にあるためその神経症状に対する治療のため、今回の話題では割愛します。

 

 これら、ドネペジル、ガランタミン、リバスチグミン、メマンチンについては、アルツハイマーなどの病状の進行を遅らせることが目的として存在しており、病状の進行に伴って、神経活動が低下している部分を賦活して、減少した神経をフル活用し、活動性をアップさせる機序となっています。メマンチンは機序が若干異なりますが、他の薬剤については、使用により活動性が上がるため、日常生活の質が向上します。ごまウシのさらなる拡大解釈では、活動性が上がることにより、日々の精神活動が増えるため、いわゆる脳トレのような感じになり、認知機能の回復のリハビリになるのではないか…と解釈していたりします。

 

 そのため、これらの医薬品については、初期の状態であればあるほど、賦活した結果が大きくなるため、効果が大きいと言われている部分があり、早期の段階で積極的に使用した方が良いというのが、専門科の中での専らな意見となっています。

 

 さて、しかし、病状の進行とともに、この「進行を遅らせる」と言うことが、果たして、本人にとっても家族にとってもよいことなのかどうなのか…と言うことが気になるようなことが発生します。

 

 積極的治療介入と言えば、とことん医療技術を使い続けていくという事になりますが、進行とともに、自分の見当識が霞の中へ包まれていき、収集つかない状況で、薄れていく不安や恐怖、また、見当識障害から認められるイライラや恐怖感などと言った症状が、「進行を遅らせる」事により長く続いてしまうことになります。

 

 そのため、これら抗認知症治療薬に対して、ごまウシも含め専門科としては、本人の苦痛を和らげることやサポーターの苦悩を和らげるためには、本当に継続的に処方し続けることが妥当なのだろうかどうか…と思い悩むことが多々あります。

 

 専門科の中では、このようなことから、処方については、「内服ができなくなるまで続ける」という意見から、「ある段階までで、終了する」という方向で考えていたりと様々です。そして、「ある段階」についても、様々な段階が存在しています。

 

 ごまウシの考え方では、もちろん、現役時代の本人の考え方、それから家族およびサポーターの気持ちなど合わせて話し合いながら、考えて行くわけですが、飲めるところまでとことんという考えにはどうしても慣れず、ごまウシの提案としては、「コミュニケーションそのものが難しくなってしまったら、終了させる」を軸に家族の考えと本人のキャラクターとを合わせて話を進めて、抗認知症薬のやめ時を検討したりします。

 

 いずれにしてもごまウシとしては、決して前向きなお話ができない認知症の進行の中で、どれだけの時間を幸せに、平安な時間として過ごせるかという事を様々な医療、介護の資材を使ってアレンジしていくことがテーマとして、日々取り組んでおります。

 進行していく認知症と向き合いながら、当事者が笑顔で、穏やかに過ごせることが最も大切ではないかと…どうしても美化してしまう感じはありますが、それを追求することがごまウシの職務と確信しているところです。