ごまウシの頭の体操

認知症、緩和ケアなどが私の仕事の専らですが、これらに限らず、私が得た知見を広く情報発信したいと思います。インスタグラムも始めてみました。https://www.instagram.com/goma.ushi/

無症候性脳梗塞

 タイトルの言葉をみなさんは耳にしたことはありますか?これは、言葉のままの意味ではあるのですが、症状のない脳梗塞のことを言っております。

 脳梗塞と言えば、発症した瞬間に、麻痺が発生し倒れてしまったりする現象が有名となりますが、発症の部位によっては、知らぬ間に通り過ぎて、脳ドックなど脳の検査をしたときに初めて指摘をされたりする場合があったりします。

 小さな脳梗塞の場合は、発症した瞬間に発見できたとしても、救急治療を要する事柄はさほど多くなく、時間経過で様子を見た上でしばらくしてから再発防止のための薬物療法が始まるような感じになります。大きな脳梗塞の場合は、無症候と言うことはあまりなく、突然バタンと倒れて痙攣を起こしたり、先ほどの説明のように麻痺が発生したりすることが多いため、救急車で受診し、新規発症の脳梗塞として、脳外科などで入院治療に至ることがほとんどとなるでしょう。

 

 さて、小さな脳梗塞の場合、ほとんどは無症候性になるわけではありますが、全く症状がないという事は必ずしも言いきれず、確かに小さな脳梗塞の場合、救急で受診しても経過観察と言われておうちに返される場合が多いのですが、もしかして…って調べてもらうのと調べないのとでは大きく違うと思います。この無症候性の脳梗塞を発見するためには、脳梗塞を起こした部位での症状ではなく、その結果として脳全体へ波及した影響の症状で発見するという事が一つのポイントとなります。自覚的に見つけられる場合はさほど多くないのですが、他覚的には発見することが少し可能であったりしますのでその点を触れてみたいと思います。

 

・血圧

 脳梗塞という状態は脳の組織の一部に血の巡りが著しく低下あるいは途絶える現象で、このことにより脳の組織が死んでしまうという現象です。血液の流れが悪いとき、これを他のたとえで言えば、シャワーなど出が悪いときには、みなさんはどうしますか?シャワーをしっかり出るように蛇口をひねり水流を増やすことをしますよね。これが脳梗塞の部位で始まると何が起こるかというと、血圧を上げるという現象が発生します。

 つまり、脳梗塞を発症すると、梗塞部位になんとか血をおくるために、全力で血圧を上げることで対応をしようとしますので、血圧が上昇します。そのため、普段よりは明らかに血圧が高くなります。どれくらい上がるかはもちろん梗塞部位や状況などに寄るため一概には言い切れませんが、普段120くらいの血圧の人が、どのように測っても180位まで上がり、なかなか下がらないと言ったようなことが発生している場合、脳梗塞などが発症している可能性があります。200を超えている場合は、医学的にも高血圧緊急症などと言って急いで受診をしてもらわないといけない状況にもなるため、急に血圧が上がり続けている場合は、一度病院を受診されることをお勧めします。もちろん、脳梗塞以外にも血圧が上がる理由はありますので、前進の評価の中で脳の検査を行ったりする動きをするわけです。ただし、初期の脳梗塞はとても見つけにくいことが多いため、分からないで終わってしまうことも確かにあります。ただ、一度調べてもらうのは大切ですね。

 

・集中力、注意力

 脳梗塞は、小さくてもいわゆる脳にダメージを受けるわけですので、脳の機能は一時的に低下を起こすこととなります。それが全般的になんとなく起こる症状として、ぼんやりするような感じになることです。運動神経などを触っている脳梗塞であれば、もちろん小さくても力が入らないといった症状になるわけですが、触っていなければ、症状がないという事になりますが、それでも全般的に脳の活動は低下します。

 周りから見ると、「いつもよりぼんやりしている」「最近はなしをまともに聞いているかどうか分からないような姿がある」と言ったぼんやりした感じが見受けられるようになります。そんなときに、もちろん、薬などでぼんやりなってしまっている場合もありますが、軽度の意識障害の可能性として、病院を受診されるとよいと思います。小さな脳梗塞以外にもぼんやりさせる原因はたくさんあるため、全身チェックの中で最終的に脳の検査を行って答えを見つけることがあります。ただ、いずれにしても高齢の方なんかは、このぼんやりがいつもよりひどい場合には、とりあえず病院でそのように相談されるとよいと思います。

 

・認知機能

 脳梗塞が発症したとき、大きなものでなくても、先ほどのお話の通り、脳の機能が低下するため、物事の理解力や判断能力といったものから記憶力などが低下してしまうことがあります。「急に認知症になってしまった」と言った言葉を伺うことがありますが、この背景に脳梗塞が隠れていることがあります。普段当たり前にできていたことができなくなるという現象は、このような小さな脳梗塞から始まることがあり、それが累積したときに脳血管性認知症と言われる病態が最終的にできあがる場合があります。

 あるときから当たり前にできていたことができなくなった、急に認知症みたいに見えてきたと言ったときには、一度脳の検査をしてもらうことがオススメとなります。ただし、認知症みたいに見える全身状態の悪化もありますので、全身評価が大切になります。

 

いかがでしょう?

 ごまウシもたまには、医学的なお話を書くべきだろうと思いながらも、最近は、春で浮かれていて、このようなお話がお留守になってしまっていました。

 時々、医学的なお話を触れていきたいと思います。