ごまウシの頭の体操

認知症、緩和ケアなどが私の仕事の専らですが、これらに限らず、私が得た知見を広く情報発信したいと思います。

側頭葉内側部

 昨日も、近隣のまちでの認知症予防教室のミニレクチャーとしての講演をしてきました。なかなか楽しい時間を過ごすことができました。オミクロン株の流行が危惧されている中なので、これからも続けられるか、またまた心配になってきていますが、有意義な時間でした。

 

 普段、まちに出かけてミニレクチャーとして行っている講演は、学術的な部分はできる限りそぎ落としつつ、その一方で、エビデンスに基づきつつ、エビデンスに基づきすぎると100%なんて言うことがあり得ないため、どうしても、一言一言の内容に「○○がよいと言う報告が多くあります」などと言った、含みを入れたような表現が入ることがどうしても多くなり、聞き手側のニーズに十分に応じられない事柄に時間を注いでしまうことが多いため、例外ばかりを語るときりがないため、サバサバとお話をするようにしています。「予防」ということ自体が、エビデンスとしてはどうしても高いレベルのものが用意できないというのが確かなのです…。

 

 とは言え、認知症と言えば、過半数アルツハイマー認知症に最もよく見られる「ものわすれ」については、多くの地域の方々が心配されていることでもあります。このもの忘れについて、近所のクリニックの先生に相談すると「年のせいだから仕方がない」と片付けられることも多く、もちろんその先生からも、「大丈夫だから安心して生活していればいい」とアドバイスを受けるという事で、励ましもあり、ひとまずホッとするが…などと微妙な気持ちになられていることが多いようです。

 もちろん、もの忘れを気にすること自体は、そういう出来事が増えた実感があるという事は確かに悩ましいことである一報で、「年のせいだと言われた」や「安心して生活していればいい」と言った、診療の経過をきちんと記憶している時点で、多くの場合、大丈夫だろうと思えるところが多いのですが、これが、身内が家族を連れて行った場合、その方が、その診療経過を曖昧にしか記憶できていない場合は、かなり心配になりますよね。

 

 ただ、多くのかかりつけの先生方は、脳については、あまり詳しくない実情もあります。脳について専門的に見ている診療科としては、脳神経外科および脳神経内科認知症の症状についてよく見ているという点で精神科が該当しますが、精神科クリニックはともかくとして、脳神経外科や脳神経内科の先生がクリニックを開かれる割合は、かなり少ないように感じられます。そのため、おなかとか胸とかには詳しいが頭はちょっと…と言うかかりつけの先生が多いのも実情のようです。できれば、目をそらしたいのが認知症と言ったところでしょうか。

 しかし、私たちの医療では、一人で抱え込むことは決してしません。情報量が爆発的に多いため、一人で抱えると情報不足のために、患者を不幸にしてしまうことがあります。そのためにコンサルテーションというものが存在します。ただ、できれば大事にしたくないのは心境としてはありますが、心配事をお茶に濁すようなことではまずいので、是非とも調べてもらいたいという気持ちにかかりつけの医師に思わせるためには、「こんな感じでいかがでしょうか?」なんて提案していることがあります。

 

 「最近、もの忘れが多いような気がするのです」

→「まあ、年のせいのことも多いので、様子を見ておきましょう」

こんな感じになることが多いので…。

 

 「最近、海馬の調子が悪いような気がするのですが…」

→「まあ、年のせいもあることも多いのですが、NHKの見過ぎなのかもしれませんよ」

なんて、お笑いになってしまう可能性があるので…

 

 「最近、側頭葉内側部の機能が落ちているような気がするのですが…」

→「えーまー…そもそも、どのようなことに対して、そんな難しい用語を用いられているか分かりませんが、ご心配でしたら、専門医に脳の写真を撮ってもらって調べてもらいましょうか?」

と言う、専門医受診の提案を引き出すことができるのでは…

 

 などと、提案していたりします。ご自身で自分のもの忘れをそうやって訴えることができれば、そのもの忘れが深刻でない事は明白ではありますが、ご家族として、調べて欲しいと考えている場合は、この言葉それなりに意味をなすと思います。

 もちろん、側頭葉内側部という部位は、その部位の中に海馬という領域があり、アルツハイマー認知症では、その部位を先ずは特異的に萎縮させていくという事も分かってきていることではあるため、この用語を知っているという事は、あの疾患を調べろと言っていることになるわけで、脳に詳しくないかかりつけ医も、脳の形の変化を見てほしいという事を意図してその用語を触れていることについては、すぐさまピンとくるものです。そして、家族が、かかりつけ医に対して、最大限の気遣いをされていることも同時に気づくことでしょう。その結果として、自分だけで抱えない手法としての専門医への相談という提案を導くことができたりします。

 

 ものわすれ→海馬→側頭葉内側部

 

 この用語の一連のつながりを是非活用し、日々の生活を充実させることをオススメいたします…

 

 意味不明な結論ですが…。