ごまウシの頭の体操

認知症、緩和ケアなどが私の仕事の専らですが、これらに限らず、私が得た知見を広く情報発信したいと思います。

認知症の経過②

 さて、認知症の初期については、主観的な感覚的な変化について、お話をさせて頂きました。一つ注意点ですが、認知症というのは、定義として、もともとできていたことができなくなることと言う事になりますので、最初からできていない事は、認知症ではありませんので、それは…諦めて下さい(病気扱いにして正当化しないように…と言う意味合いですが…。)

 

 さて、主観的におかしいなぁ…と感じている段階の次のステップは、実際に、周りからもなんとなく気付かれてしまう段階になります。認知症の定義は、日常生活に支障を来すことを基準の一つにしていますが、支障を来しているかどうかについては、生活のパターンや状況によると思いますが、支障を来すまでは認知症の診断をする事は出来ません。そのため、歳を重ねる内に出てくるど忘れや能率の悪さといった内容は、さほど生活に支障が出ているという範疇には入らないため、認知症とはしないという事が重要です。ただ、残念ながら、加齢現象でも生活に困る場合もあり、その場合に「加齢に伴った認知症」なんていう表現を使ったりしますが…。

 

 さて、生活には支障を来していないものの、認知機能が低下した状態ではどのような症状があるでしょうか…。少し具体的に例を挙げてみようと思います。

 

 まず、認知症と言えば、最も最初に想起される症状としては、もの忘れという事になります。生活に支障を来さないレベルでのもの忘れと言えば、同じ話を何回か繰り返されると言ったところから、買い物でつい同じものを買ってしまった…と言ったレベルから始まるかと思います。忘れについても、忘れていることがあったりなかったりという段階で、特に本人にとって重要で大切な内容については覚えていられるけど、一般的にも注目していない事柄についての覚えられなさについては、やや目立つという感じになる程度にとどまります。

 そのため、「最近忘れっぽいね」という程度にとどまり、生活に支障を来さない状態がこの段階と言えます。

 次に、活動性については、やはり、主観的な感覚以上に低下してくるために、不意に趣味などをやめてしまって、ぼんやりと過ごすことが多くなり、外出の頻度が減ってくることが多いようです。そのため、家族から、最近ぼんやりしているからうつじゃないかと思われたりすることもあるようです。

 また、会話も減少し、無口になったり無表情になったりしていることも多くなると言われています。

 生活技術の面では、複雑な機器については、使えないことが増えて、そのまま使わないまま放置されていることが増えたり、ものの片付けなどがヘタになり、いつもと違うところの片付けをしてしまって探し物をするなどが増えてきたりします。

 ただ、日常的に高頻度で使用しているものは扱えたり、また、片付けにやや煩雑さが現れてきても生活に支障を来すほどではないと言った状態であったりします。

 

 まだまだ、症状としてはないわけではありませんが、このように、今までとは違って、出来ない事や誤った行動が増えてきているものの、生活に大きく支障を来す状態ではない段階になり、周りが少し気になり始める段階に到達します。この段階をMild Coginitive Impairment(MCI)といい、日本語でも軽度認知機能障害と和訳されて、最近の認知症診療や施策においては注目されており、この段階で早く認知症前代会としてキャッチし、想起に対策を講じるべきだと議論されています。

 MCIの段階においても、一定の割合で正常に回復することも多いのですが、一定割合で認知症に発展することがあり、経過を注視していくべき段階と言え、早期の治療介入すべきと言われています。専門医受診のタイミングとしては、この段階は強く推奨されるべき段階と言えます。