ごまウシの頭の体操

認知症、緩和ケアなどが私の仕事の専らですが、これらに限らず、私が得た知見を広く情報発信したいと思います。

社会的入院

 みなさんは、社会的入院という言葉を耳にしたことはありますか?

 昔は、どこの病院でもこの社会的入院ということが日常的にあったのですが、医療情勢の変化とともにこの社会的入院は激減し、現在では、精神科病院がかろうじて受け入れているくらいでしょうか…。療養病棟と言われる病棟も多少受け入れていますが、ほとんど姿を消しております。

 

 社会的入院は、意味合いとしては、社会的な理由での入院です…そのままじゃないかと言われそうですが、まさに、これが意味合いであり、入院なのに、身体的な理由でないというところがポイントです。

 

 社会的というところは、家庭環境という言葉に置き換えることが出来ます。精神科患者の場合、日常生活において、精神病症状や気分状態から、多くの時間目が話せない状況にある場合、サポーターである家族が疲弊してしまうことがあります。その場合に、患者はさほど病状に変動があったりどうしても入院が必要とまで状態が悪いわけではないのですが、家族の休息などを目的として、患者本人を入院に導いてしまうものです。

 精神科患者に限らず、介護が必要な高齢者も多くの場合そのような入院が存在しました。その社会的入院で、環境が改善すれば退院となるのですが、それが改善せずに年単位で入院してしまうなんて言うこともあったりします。それこそ20年くらい前の老人病院には、そのような方がたくさんおられたと思います。精神科病院にはまだ現在も数十年の入院を続けている方もおられますが、だいぶ減少しています。

 

 そして、劇的に減少したのは介護保健制度が導入されてからです。高齢者の社会的入院は介護保健を活用して、漏示保険施設や、小規模多機能施設での一時預かりなどから、最終的には昔から存在する老人ホームのような施設へ移行していくという流れが主流となり、社会的入院では、医療的に採算がとれないような時代になってきました。

 

 しかし、社会的入院は現在も残っております。社会的入院の必要性がなくなったわけではないのです。介護サービスがあるのに、なぜ医療で社会的な受け入れをしているかと言えば、これは、アクセスが医療の方がよっぽど簡単であるというところにあります。

 入院は、緊急のものであるため、受診したらその日に入院が実現する場合が多くあり、介護サービスの場合、緊急入所と言った対応は、よっぽどの利用経験があったり、既に介護認定などがすんでいたりと言った特別な理由がなければ出来ません。入院は特別な準備はいりません。必要があって医師が認めれば入院が実現します。

 そのため、速やかに対応が必要な場合には社会的入院をとりあえず受け入れたりすることがあります。

 

 社会的入院が過去の言葉のようになりつつある中でも、未だに存在するのは、このような素早い動きがまだまだ介護サービスや障害者支援における入所サービスにおいては順応できていない実情があります。この緊急の入所システムが、今後のサービスの展開の中で実現できるようになれば、おそらく社会的入院はさらに激減し、適切な医療サービスにつながるのではないかと思います。

 ただし、おそらく、緊急入所は、病院の入院と異なり、おそらく、コストは結構かかるのではないかな…と思ったりしますが…

 

 社会的入院が必要のない時代はいずれにしても、いつやってくるか…まだまだ課題は多いように感じますね。