ごまウシの頭の体操

認知症、緩和ケアなどが私の仕事の専らですが、これらに限らず、私が得た知見を広く情報発信したいと思います。

適応性の低下

 高齢者の方が入院すると、この現象にとてもよく遭遇します。みなさんも、ご家族、ご親族の方の中で、高齢の方が入院されたときに、「認知症みたいになってしまった」なんていうお話を耳にしたことがあるのではないかと思います。

 「認知症みたいな状態」は色々な原因で生じることがあります。そのいくつかをご紹介したいと思います。

 

1.体調不良が来す認知機能低下

 これは、入院する前から始まっている場合があります。入院というのはまず間違いなく体調が悪いという事になります。炎症があったり、ミネラルのバランスが崩れていたり、身体の調和が乱れている状態になります。

 身体のバランスが崩れると、脳を流れる血液も当然影響を受けるため、脳に負担がかかり、脳の機能低下が起こってしまいます。雰囲気としては、もうろうとした状態といった方が適当でしょうか。もうろうとしているときには、話のかみ合いも悪くなるし、場所とか時間とかの感覚がぶれてしまいます。

 これが発展して、意識状態も怪しくなってしまう現象がせん妄という現症になります。夜中に「火事だ!!」って大騒ぎしたり、「ベッドの下をたくさんの虫が這っている」などといったり、強い興奮を伴った穏やかでない状態に陥ることもあります。

 

2.環境適応性の低下

 次にあるのが、環境に対しての不適応状態に関連した混乱状態です。普段と違う場所に行くと、若い人なんかは興奮してわくわくするかもしれませんが、歳を重ねると、不慣れな環境という事を不安として感じて、落ち着きがなくなり、冷静さを失うことがあります。

 その結果として、看護師の指示が頭に入らなかったり、点滴などをすぽっと抜いてしまったり、さらには、フラフラと、当てもなく歩き回ったりすることもあります。

 環境適応性の低下については、普段の日常生活においては、症状として認められることがありません。年齢を重ねて行くにつれて日々の生活は単調化し、いつも同じパターンの生活をしていることが多くなります。そうすると、狭い空間の中で生活が成り立ってしまい、知らない空間というものが果てしなく広大に感じ、不安になってしまうことがあります。

 

 体調不良による認知機能の低下については避けられない部分がありますが、適応性の低下については、ガード方法があると言えます。もちろんこのガード方法はそのまま、加齢に伴った認知機能の低下や認知症を発症している方の認知症の進行を遅らせる機会にもなり得ます。

 適応性の低下は、日頃の生活が単調していることにより、変化がとても苦手になっていることによって発生するものです。適応性が低下していると、脳自体もだいぶ老化に甘んじてしまっている部分もあります。そのため、やはり脳には刺激を与えてトレーニングしてあげないといけないと思います。

 やはりオススメは、家で単調な生活をせずに、ぜひお出かけしましょうという事です。自宅では刺激がない分、脳もあまり使わなくても生活が完成してしまいます。しかし、お出かけをすると、普段使わない脳を使うことになりますので、適応性を高めるトレーニングとなります。知らない建物に入っても迷わない、混乱しない。不安になっても、冷静に現状を把握できるといった適応性の向上が図れます。

 

 ぜひ、入院で「認知症みたいに」と言うことが起こらないように、ご家族、ご親族の高齢の方には、ぜひお出かけをオススメしてあげてください。コロナがこのような活動に対して著しく制限を加えてしまっていますが、認知機能の低下は、コロナよりも恐ろしいことではないかと私は思ったりします。

 ワクチン接種、そして日々の感染予防など対策を講じてお出かけをすることをオススメ致します。