ごまウシの頭の体操

認知症、緩和ケアなどが私の仕事の専らですが、これらに限らず、私が得た知見を広く情報発信したいと思います。インスタグラムも始めてみました。https://www.instagram.com/goma.ushi/

せん妄は原因があって発生します

 最近、さすがに過去に何を書いたかを思い出せなくなりつつありますが、せん妄については、触れたことがなかったことに気づきました。せん妄は、総合病院では日常的に発生する現象ではありますが、自宅で生活する中で、発生することもありますので、せん妄については知っておいても良い現象と思います。

 そもそも、せん妄とは何かという事から始まりますが、せん妄は、私が学生時代のと期に国家試験の勉強のテキストで学んだせん妄の現象は、舞台の演劇を緞帳をほとんど下ろし、足元だけ見えるようにしてしまった状態で、どのような演劇をしているか想像している状態に似ていると表現されていました(絵で描いてありました)。足元だけ見ていると、その演劇が例えば時代劇の演劇だったとしても、西部劇にもそれ以外の演劇にも何でも想像できちゃうわけです。この状態を意識狭窄と表現し、これがせん妄という現象であると学びました。

 もう少しわかりやすい例で言えば、寝ぼけて夢か現実かの区別がつかない状態を想像すると良いと説明したりしています。この状態は、意識狭窄とあるように、意識レベルがお少し落ちてドロン…とした状態の時に起こります。

 具体的に言えば、まさに認知症との区別がつかない常置兄なるわけではありますが、直前の症状として、周りにたくさんの虫がいるとか、飛び回っていると言ったような訴えをし始め、そのうち、周りが火で包まれていると言ったような恐怖の幻覚や幻視に包まれ、発狂状態になってしまいます。時には、病院では、看護スタッフが、刃物を持って襲ってくると感じてしまったりするような恐怖に包まれることもあります。また、入院している状況であれば、急に自宅に帰らないと行けない気持ちになったり、仕事で切羽詰まっているような感覚に襲われたりと、帰宅願望や外出願望が強く認められ、制止しようとした看護師を押し倒して外へ出て行こうとしたりすることが発生します。

 せん妄状態にある方を見ると、会話をしていても、どちらを見ているか分からないような視線の合わない感じであったり、人の話がまともに聞けているかどうか分からない感じであったりと、何かに振り回されていると言うよりは、混乱して何かしらに注目することができない状態にあるように見えるはずです。注意障害と言って、じっと注目したりすることができない状態にあります。

 このせん妄状態は、認知症のような継続的な症状ではなく、一時的な症状であり、長期化させない限り、ほとんど後遺症なく、元に戻ることが一般的です。そして、せん妄は、原因があって発生すると言われているため、その原因を見つけ出して、取り除けば、せん妄は解消します。とにかく、せん妄は治る病気なのです。

 ここで重要なのは、せん妄になるためには、明確な理由が存在することです。その理由を見つけ出すことがとても重要になります。これが自宅で発生した場合には、日常生活の中で、何か変化がなかったかどうかを確認する必要があります。自宅であれば、真っ先にまずは熱を測ってもらうことが重要でしょう。そして、次は、歩き方がいつもと同じかどうか、呼吸は乱れていないかどうかなどです。急に発生した場合は深刻な病気が発生している可能性があるため、病院に相談されることをお勧めします。相談先は、精神科病院ではなくて、総合病院になります。もちろん理想は、精神科を診療科として保有する総合病院ですが…。精神科はせん妄の治療介入は日常的には行うものの、体の病気を精密に診断する技術は、総合病院に比べれば大きく劣ってしまいます。そのため、できれば、総合病院に相談されることが良いと思いますが、せん妄を想定できない場合には、その場で精神科を進められてしまうリスクも総合病院にはあります。そのため、精神科を保有している総合病院が理想的なのです。ただ、急におかしくなったという表現をつけた上で病院に相談されることをお勧めいたします。

 入院中の場合は、入院の原因となった病気そのものが原因となり得る上に、慣れない環境であったり、病気の不随症状である、痛みなどの苦痛、さらには、ICUなどでは、電子機器類の音など、複雑に絡み合って発生してしまうことがあります。この場合は、一過性ではなくて、定期的に夕方などある時間になると発生するようなことを繰り返すようになります。これを黄昏れ症候群と言ったりしますが、このような場合は夜間に体を休めることができないため、衰弱が進み、せん妄自体が脳に負担をかけてしまうため、全般的な認知機能の低下が後に引いてしまうことがあります。そのため、せん妄とせん妄の間の間欠期と言われている、せん妄ではないタイミングで、リハビリテーション薬物療法など、様々な対策を講じながら、せん妄の原因市を一つずつ取り除いていくことをしていくことが重要となります。ただ単に鎮静を書けて沈めるだけでは、余計脳にダメージを与えてしまうため、日中の活動促進がとても重要となったりします。

 

 まとめますと、せん妄という現象は夢と現実との間をさまようような状態で、体調不良などの原因があって発生します。入院中の発生の場合は、体調不良だけではなく、それ以外にも様々な原因が重なり合って発生することがあり、その点を考え、せん妄の早期解除を図る戦力で臨む必要があります。