ごまウシの頭の体操

認知症、緩和ケアなどが私の仕事の専らですが、これらに限らず、私が得た知見を広く情報発信したいと思います。

転び方に要注意

 子供の頃、豪快に転んで、膝をすりむいた思い出は、誰でもあるのではないかと思います。私自身も、転んだ経験はもちろんありますが、最後に転んだのは、小学校の時が最後でしょうか。スポーツなどは除き、普段の生活の中で転ぶことと言うのは、よっぽどのことがない限りないのではないかと思います。転んでいなかったのですが、ふと、今とても恥ずかしい転びそうになって、周りに目立ってしまった経験がありました。

 私が唯一参加した国際学会があり、とても華々しい思いでその期間を過ごしたのを思い出します。会場も香港であったため、5時間ほどで到着する場所でもあり、周囲がみなアジア人という事もあり、とても快適に過ごせました。こんな、華々しい学会の会場で、とても恥ずかしい経験をしました。大きな講演会場で、ゴージャスなカーペットが敷き詰められた階段状の会場で、国際的な有名な研究者の講演を必死に聴いて、感動して、終わったところで、気持ちよく階段を下りて、会場をあとにしようとしたところ、階段を1段踏み外し、おっとっとっと…と壇上近くまで、走り込んでしまったのです。講演を終えた演者と、その演者に質問をするために集まった方々に"What ? What happened ?"、"Are you OK ?"などと口々に言われ、"OK, OK, Thank you."と何を言ったかわからないような英語を唱えて、笑って立ち去った覚えがあります。もちろん、爆笑までは行かないものの笑い声の中で立ち去ったのは確かですが、とても恥ずかしい思い出となっています。

 さて、このときに転びそうになったときに、私はとっさに手を伸ばして、周囲の椅子に捕まりながら、階段をたったった…と駆け下りたわけですが、転ぶという突然の出来事に対して、無意識に手が出るのは、誰もがが、経験あるでしょう。

 反射とは言いませんが、人は、転びそうになったら、必ず、顔を守るような振る舞いをします。また、顔に仮にぶつかったとしてもダメージが小さくなるように、無意識に頭の位置を下げるように膝を曲げるなどの姿勢もとります。

 そのため、実際に転んでしまうと、子供の時のように膝をぶつけてしまうか、さらに言えば、手をついて、手にけがをすると言った事になります。高齢化すると、手をつくことで、手首を骨折したりすることも増えてきます。

 高齢者においては転ぶと真っ先に頭をよぎるのが大腿骨頸部骨折ですが、もちろん転び方の姿勢が悪い事により、股関節に直接ダメージを与えるわけですが、その多くに尻餅というものがあります。後ろにバランスを崩すことは、一般的にはあまり経験がないのではないかと思いますが、近位筋と言われるいわゆる大腿の筋肉が弱くなると、座るような転び方になるようです。

 以上のことをまとめていきながら、高齢者における転び方において、転びそうになったときの変化で気をつけておくべき事について、まとめてみたいと思います。

 まずは、筋力低下によって起こる現象は、先ほどの尻餅に加え、つま先が持ち上がっていないことによるつま先を引っかけて転ぶことです。体に近い筋肉の力の低下は、尻餅、遠い方の筋肉(遠位筋)の筋力低下は、けつまづいて前に転ぶといった感じになります。もちろん、それ以外にも理由はありますが、割愛します。

 とっさの動きが鈍化することによって起こる現象があります。転んだときに、顔面をぶつけたり、後頭部をぶつけたりする現象です。これは反射神経や敏速な動きができなくなっている証拠と言えるでしょう。この場合は、パーキンソン病のような体のこわばりなどを発生させる疾患や、脳血管障害等の姿勢やバランスが悪くなり、神経伝導が悪くなっている疾患を考えることとなります。

 基本的に、転ぶという事は、多くの方は、めったに経験することはないでしょう。不注意でものにつまずいたり、クロックスのような履き物で床に密着して突っかかったりして転びそうになりますが、そのまま姿勢を崩して倒れるまではまず行かないことでしょう。そのため、転ぶこと自体が、健康状態を疑うことになるのですが、その転んだときの姿勢などから、さらに、筋肉の問題か、脳神経の問題かといったところまで、原因を追及することもできます。

 

 転んでしまったりした場合、スポーツなど激しいものでない限り、何かしらのお吐露を考え、その点の対策を講じていくことも重要と言えます。不注意そのものも原因とはなりますが、転ばぬ先の杖とも言います、転びそうになる頻度が増えて凝れば、その点、体の衰えや問題が隠れている可能性を考え、検診などを受けておくことをお勧めします。