ごまウシの頭の体操

認知症、緩和ケアなどが私の仕事の専らですが、これらに限らず、私が得た知見を広く情報発信したいと思います。

筆跡には病気が反映することがあるのです。

 最近はめっきり直筆の文字を目にすることはなくなりました。直近で目にしたのは、あの御朱印の筆文字でしょうか。とにかく活字の生活に溶け込んでしまっているため、私自身も、いつ字を書いたかというのが思いつかないくらいですが、頭が溶けてしまう可能性があるので、みなさん、時々きちんと字を書くようにしましょう。溶けるとは比喩ですので本気でとらないようにしてください。

 筆跡は、指紋と同じくらいに個性を示すと言われているため、世の中には筆跡鑑定なんて言うものが存在します。文字の綺麗、汚いについては、書道などのトレーニングによって改善するものではありますが、それでも個性というものは存続します。文字の個性は、どんなに字体を変えるためにトレーニングをしても、個性は引き継がれてしまうのが特徴です。

 さて、こんな、個性を引き継ぐ筆跡ですが、こんな体験はありませんか?今日は、思った風に字が書けなくてヘタになってしまった。今日は妙にバランスの良い字が書けるような気がする。こんな体験はあるのではないかと思います。決してペンの乗りが良い,悪いじゃなくて、気分の影響であることはなんとなくみなさん自覚されているのではないでしょうか?そうです。文字は、気分に影響を与えるのです。もちろん内容についても気分の影響を与えることは言うまでもないことですが、内容はともかく、文字だけ見ていても、気分や神経の状況を反映するのです。今回話題を振れさせていただくのは、文字と文字の間隔なども含めた流れと病気との関連性について触れたいと思います。

 まず代表的なものとしては、統合失調症の方の文字の書き方の特色ですが、薬物療法により、標準化する傾向もあるため、未治療や、治療に抵抗性を示し、精神病症状が継続している場合に認められる症状です。病状のコントロールがうまくできないときには、細やかな字で隙間鳴くぎっしり段落もない文章を書いてしまう傾向があります。

 また、うつ病においては、文字は小さく、文字と文字の間も狭くなり、躁状態の場合は文字は大きく隙間も大きくなる傾向があります。

 このあたりは、想像もつきやすいところでもありますが、一方で、いわゆるパーソナリティ障害については、それぞれの傾向によってそうやうつの病状のような文字などの変化もありますが、平成の時にも特徴があると言われています。なかなか詳細な文献はありませんが、英語圏での文献では多くの指摘があります。文字間が揺れ動くといった特色もあったりします。私の師匠に当たる先生からは、英語だけに限らず日本語でも特徴は共通している部分が多いと言われていました。筆跡についての文献はなかなかありませんが、探求すると面白いかもしれません。

 さて、もう少し分かりやすいものとしては、神経疾患は特徴的な変化を遂げます。これはさらに筋道立った説明ができますので、最後に一つ触れたいと思います。

 代表疾患としては、パーキンソン病です。振戦により文字が震えてしまうものもありますが、それ以上に疲労するとこわばりが高まるので、ペンを動かす動きもこわばり緩慢となります。そのため、最初はしっかり書けていても徐々にこわばりによりも字が小さくなってしまうという特徴があります。もちろんこわばり症状が最初からあれば、大きな文字は書くのにかなりの努力を要するため、文字は、小さくなってしまいます。

 文字の特徴は、神経疾患および筋疾患において認められる特徴でもありますので以前とは異なった字を書くようになったりしたのを見かけた場合には、早めの受診をお勧めしてあげると良いかもしれません。

 

 結論ですが、タイトル通りですが、日頃に書いている文字の筆跡などが変化してきた場合、精神疾患や神経疾患あるいは筋肉の病気などが背景にある場合もあるため、病院を受診されることをお勧めします。最初に訪れる診療科は、脳神経内科がよいでしょう。