ごまウシの頭の体操

認知症、緩和ケアなどが私の仕事の専らですが、これらに限らず、私が得た知見を広く情報発信したいと思います。インスタグラムも始めてみました。https://www.instagram.com/goma.ushi/

脳みそに届く物質

 最近、医療機器を使った事業についての話しをしていることがありますが、その中で、時々話題になるのが、「認知症に効く」と言った話題です。もちろん、学術的に明瞭に証明されていない、可能性のあるものと言う話題に限ることではありますが、合点できるものから全く合点できないものまで様々だなと感じるところがありました。人間の体の構造は、確かに基本的には、多細胞生物と言われているとおり、細胞の塊ではありますが、その細胞が、不思議なくらい様々な役割を演じているところがあり、その演じ方では、最新の科学技術でも作り出せないような、高度な能力を発揮したりしています。神社巡りの私の最近の思考で言えば、これこそ「神のなせる技」と言うことでしょうか。

 さて、脳みそについて、外部からの物質からの防御機構について触れてみようと思います。脳みそは、外部からは分厚い骨で包まれているため、X線レベルの放射線でない限り投下できないほどの外部からの防御ができています。具体的に言えば、表皮で基本的なガードをしながら、頭蓋骨で物理的なガードをさらに増強し、下には、いくつかの膜はありますが、髄液という液体により衝撃吸収作用を有して、外力から外的物質からもガードできています。大がかりな外科的器具を使わなければ、簡単に脳にアプローチできないのはこれだけのガードをしているからです。

 一方で、外を包んでいる頭蓋骨のそこの部分には、穴が空いており、そこから脊髄の他、最も重要な血管が流入しています。脳へのアプローチのもう一つは、血管(動脈)があります。動脈に溶け込んだ栄養や糖分その他薬剤など様々な化学物質を脳に送り込むことができれば、脳に届けられるわけですが、脳内の結果は、通常の血管と異なり、とてつもないほどのガードがなされています。通常は、いわゆる血管壁という構造物が、遮ることで、物質の往来を自由にできないようにしています。この血管の壁だけでもかなりのガードになっています。

 ちなみに血管の壁は、何層もの血管を構成する細胞で成り立っていますが基本的には、これらの細胞の中を通り抜けできなければ、血管の外には出られません。この血管の細胞は、とても能動的に物質を操作して、移動させています。血管の中のミネラル成分は、この細胞の細胞膜にあるイオンチャンネルなどと言われるところを通して、出入りしており、これを細胞の力で制御しています。ところが、細胞膜は、リン脂質と言われる脂に溶ける物質の塊でできているため、イオン性のいわゆる親水性の物質は簡単に通さないものの、脂溶性の脂などは、簡単に通してしまうことが知られています。この状態ですと、血管から外には脂成分は好き放題で入りできてしまうこととなります。この環境では脳みその安全は担保されません。

 実は脳の血管は、さらに、血管の外側を神経細胞の周りにある細胞がぐるぐる巻きに包んでいる構造をしています。神経細胞と似ていて星みたいな形をしているため、アストロサイトなどと言われたりしていますが、この細胞達が血管の外側をぐるぐる巻きにしているため、脂溶性物質もなかなか通過できなくなっています。このアストロサイトの役割が、実際中枢へ作用する医薬品の合成を難しくしていると言えます。なかなか脳みそまで物質を運べないのです。もちろん大量に投与すれば、脳に移行するのですが、ところが大量に投与すれば、体が持ちません。もっと大量に体中の細胞が暴露されますので。

 でもやはり、脳の血管でも脂溶性物質は最終的に通り抜けてしまいます。脂に溶ける物質は結果的には脳に移行しやすいため、いわゆる有機溶剤のような物質は、脳に移行してしまいます。今はほとんどいないかと思いますが、いわゆるシンナー中毒というのは、脳の防御機構の弱点を突いたものです。

 このようなすさまじい脳の防御機構が存在するため、脳に作用するサプリメント…なかなか難しいものであることが分かりますよね。簡単に移行できるわけではないので、天然の物質ではなかなか難しかったりします。しかし濃度を高めたり構造的な改良を重ねていくとできるかもしれません。

 さて、最後に、実は、医療機器の話をしている中で登場する物質は、水素です。水素は、H2と言う物質ではありますが、この水素は、活性酸素とす身や課に反応してH2Oとなるため、クリーンな活性酸素除去物質として様々な研究がなされています。活性酸素は、一般的には細胞の老化を進めてしまうと言われているものです。この活性酸素を吸着してし今薄いそはそういう点ではアンチエイジング物質とも言われているもので動物実験ではいろいろと理論が成立していますが、さすがに人体実験はなかなか行えないこともあり、人体での効果については不明な点が多いのです。この水素…さて、脳みそに到達するでしょうか?とても小さな分子は、いろいろなものを投下することができますが…さて、実際どうでしょうか?

 答えは、まだ存在しません…。

 

 結論としては、世の中でいろいろなサプリが脳に効くと言われていますが、実際に脳に到達するのには多くの関門が存在しているため、筋道的に脳に良いと考えられていても、決して脳に到達して効果を発揮するとは限りません。その点では、サプリメントにおいて脳に効くという言葉には冷静な考察が必要になると考えられます。