新年度に入りましたね。…気づいたのは、4月に入って数日後、そういえば、初々しいスーツ姿をたくさん見るな…と思っていたら、そうですね、新年度。
昨年度もそうですが、私は入職式のあと、新入職員に対して、メンタルヘルスの相談コーナーを設置していますという事をおよそ1時間ほどかけてお話をさせていただいています。もちろん相談コーナーがありますよ…と言うことだけで1時間も必要ありません。新人さんが陥りやすいところを含めて、お話をさせていただいています。この点については、ここでも触れさせていただこうと思います。
1.気合の入れすぎ
新年度は、「新年」とよく似ているところもありますが、新年と違うのは、気持ちが一新したところから休みなくスタートを切ることです。わかりにくいかもしれませんが、振り返ってみてください。新年は、初詣などで、新年の抱負などを考えたりしますよね。もちろん何も考えないという事もあるかもしれませんが、考えたとして…を想定してください。新しい気持ちで、頑張ろうと気持ちが高まるのですが、正月3日…お休みモードが続きます。その間に少しクールダウンしていくわけです。そうすると、冷静なスタートを切ることができるわけです。年末年始を仕事をしている方は、新年の区切りは実感できなくて流れてしまいますよね…。私は、この経験もありますが、新年のなんとも新年らしい琴の音楽などを耳にして信念を感じますので、区切りがついたような感覚にはなります。余談ではありますが、年末に当直に入り、年越しを職場で迎え、新年に帰宅すると、なんとなく浦島太郎状態になってしまいますが…。
新年度は、気持ちを引き締めたまま、そのまま、実働に向かうため、クールダウンするヒマがありません。そうすると、全力疾走でゴールデンウィークまで突入するわけです。疲れも気づけません。そして、ゴールデンウィーク明けに…ふっと力が抜けてしまい、疲労感でいっぱいになる(もちろんその前兆に、ゴールでウィークをゴロゴロ寝て過ごしてしまいリズムが崩れるなんて言うのがありますが)。
5月病なんて言いますよね。あるいは燃え尽き症候群。社会人1年目、あるいは、新しいお仕事を始めるに当たって、とても緊張し、引き締まっている気分状態で臨んでいる場合。
くれぐれも、連勤がいきなり続くわけではありませんよね。週休二日は基本的に担保されているはずですので、ゴールデンウィークを迎えるまでに何回か骨休みがあるはずです。このお休みをしっかり休めて、お仕事というのは持久戦であり、瞬間年少ではないことを言い聞かせてあげてください。ぼちぼちが大切です。ぼちぼちを保ちながら、徐々に仕事に慣れてきたところで、自分らしい力量を発揮していくのが一番です。「能ある鷹は爪を隠す」の通り、いきなりからの全力疾走は、必ず息切れしちゃいますので、気をつけてくださいね。
2.過信から来る挫折感、敗北感
私たち医療職については、多くの人が国家試験を受けて、合格をもらって入職してこられますので、合格という札を持った自信あふれた状態で入職される新人さんも多くおられます。国家資格を取れた直後です。とてもうれしい気持ちも分かります。これからの人生を保障するような資格ですから、大切に、そして、自信を持って仕事に励んでもらいたい者です。だから、この自信にあふれた気持ちは大切だと思います。
しかしながら、多くの方は、社会人としては新人さんです。そして現場経験はもちろん新人さんです。国家資格を保有した瞬間ベテランと勘違いをしてしまう感覚になることがあります。職場には同じ国家資格を保有した、現場経験をふんだ実務のプロと社会人のプロに囲まれています。国家資格を取ったからと言っても新人さんであることを忘れてはなりません。
実際、国家試験の知識と、現場の知識とは異なる場合も多く、ついて行けないことも多々あります。また社会人としての、その職場としてのルールなどもあります。そのため、国家資格を取ったという琴で自信にあふれて、何でもできると思い込んでしまうととんでもないしっぺ返しを食らうことがあります。
自己判断で、先輩の、あるいは上司の見ていないところで勝手に仕事をしてしまって、トラブルに見舞われたり、上司の言っている言葉を無視して、自分が正しいと主って仕事をしてしまって、ミスをしてしまったり…。そして、上司から厳しく叱られる。
メンタルヘルスの相談に、時々、新人さんからパワーハラスメント受けたと言ったような相談をいただくことがあります。お話を聞くと言動的にはパワーハラスメント…のように聞こえるものの、当の本人は自尊心を著しく傷つけられたような訴えをされています。上司の発言の形に問題があったとしても、自己の過信に伴ったトラブルであることは確かなので、大変申し訳ないことに、助けてあげるばかりでなく、結果的には説教をしてしまうこともあったりします。国家資格はあくまで通り道に過ぎません。資格保有者は最初からベテラン…と言うわけではありませんよね。
就職活動でとても苦労をしてきた、新人さんたちも同じように、苦労して勝ち取った就職なので、選ばれた人間としての自信に満ちあふれているかもしれません。このあたりを過信という形に繋げないように、とにかく謙虚にいきましょう。
とにかく、1年生です。「わからない」が平気で言えるときです。「できません」も自信満々で言えるときです。遠慮なく「おばか」になってしまいましょう。かわいい新人さんたちに、先輩達は、無慈悲な支援をしてくれます。
以上のように、新年度は、気合と自信の錯綜した瞬間でもあり、それが暴走を招くこともあります。くれぐれも、自重し、能ある鷹は爪を隠す…で進めていきましょう。
※また、正反対に新年度は迎えたけど、自信がなくて不安でいっぱいという180度反対を向いている人もいますよね。その方々は、1年目なら許される「おばか」になることが大切です。ゼロからスタートと考えれば自信はいりませんし、不安に感じる事柄もありません。