ごまウシの頭の体操

認知症、緩和ケアなどが私の仕事の専らですが、これらに限らず、私が得た知見を広く情報発信したいと思います。インスタグラムも始めてみました。https://www.instagram.com/goma.ushi/

講演会のあとで質問ができる人はいますか?

 昨年は、とても少なかったのですが、私は時々、大勢の方の前で講演を行っております。人前でおはなしすることは、もともとの私の感覚では全く想定できないものですが、おおよそ10年前後の経験を経て、さほど緊張というものを感じなくなりました。地域で講師として招いていただけるようになり、感謝しているところです。さすがに、全国を巡るまでには、「知名度」が微々たるものですね。将来、読んでもらえるかしら…読んでください!!ど〜ぞ!!ど〜〜ぞ!!…独り言はこれくらいにして…。

 講演会では、演者がよっぽで時間延長をしない限り、主催者さんは質問タイムを必ず設けていただけます。演者としては、すぐ答えられるだろうかどうか…不安とドキドキとともに、お話ししたことがどれくらい聞いていただける方々に響いているかを知るのには、絶好の機会となります。

 私のブログを読んでいただいている方々の中で(…現時点では、アクセス50件程度ですが…)講演会の終わりの質問タイムに、挙手した上で、マイクを用いて質問をされたことがある方はどれほどいらっしゃるでしょうか?ほとんど折られないのではないでしょうか?

 私の経験では、聞いていただける方々の人数が多ければ多いほど質問をされる方が減少します。100人を超えると,ほぼゼロ…となってしまいます。もちろん、私も学会などで大人数の参加の講演に参加することがありますが、講演内容で質問したいことが発生しても、挙手することにかなりためらいを感じてしまいます。ただ、私の師匠となる方に、一講演一質問という原則で講演には参加することとご指導いただいたこともあり、頑張って、ためらいを振り切って質問をするようにしています。

 私の師匠は、質問については、以下のようなことを言われて必要性を説かれます。

 「講演をする人は、その筋の専門家であり、他の人が持たない、とてもたくさんの知識を持っていて、そんな貴重な情報を持った方がせっかくお話ししていただけるのだから、その方の知識をできる限り盗み取らないといけないともったいない。国際学会などでは、講演の途中でも、ヤジのように質問が飛び交うくらい積極的にその演者から知識を盗み取ろうとみんな必死だ。どんどん質問して、演者の知識を盗んでしまいなさい。」

 とても分かるお話なのですが、なのにためらいますよね。

 実は、これは日本人の風土と言ったら良いほどの特性なのです。「自分が目立ったら、周りに迷惑だと思う。」「目立ったら、みっともない。不愉快にさせる」なんてみなさん考えたりしませんか?この考え方が世襲的に受け継がれて、日本人の奥深くに存在していると考えられます。まさに「出る杭は打たれる」なのです。

 グローバリゼーションの今の時代、日本人の特性を外国の人たちが、指摘するように、イエスマンであったり、穏やかな人たちととられたり。いい意味でも悪い意味でも静かな民族と言われています。

 しかし、師匠が言われるとおり、質問することを控えてしまうと確かにもったいない。そういう点では日本人の文化は自己研鑽には、マイナスに働いているかもしれません。

 ただ、一方で、講演会の途中で質問が飛び交ったりすると、演者にとってみると、ペースがすぐ乱れてしまう上に、聞かれる方々からすると、妨害されている感じも目立つでしょう。もちろん、質問をきっかけとしてディスカッションが展開され、会場がそれにのめり込むなんて言うこともありますが。

 このように、私が普段行っている講演会では、やはり質問する方は、ほとんどおられません。順調にお話が終わるのは有り難いのですが、聞いていただけたかどうかが分からないというのがあります。そこで、私は講演会の質問タイムが終わったあとも、しばらく会場を去らずに、ゴソゴソと片付ける振りをして居座るようにしています。そうすると、こそっと現れて質問してくださる方が現れます。講演をして一番うれしい瞬間です。もちろん、お答えする事がスムーズに行かない難しいことを聞かれる方もおられますが、興味を持って聞いてくれたことがはっきりわかりますし、みんなが居眠りしてしまっていたわけではないというのが分かるのでうれしいことです。

 

 結局何が言いたかったと言えば、私たち日本で生活をしている日本人の文化では、やはり「出る杭は打たれる」という考えは、絶大であり、どれだけ出た方が良い場合でも出られず、こっそりしかできません。この特徴は、社会人のほぼ普遍的な真理であることをふまえると、例えば、会社などのミーティングなどで公衆の面前で意見を求めたとしても、質問が出ることもなければ、ましてや主催者の提案に対して異議を唱える方が現れることは極めてまれなのです。商品開発や新たな事業展開を行っていく場合に、意見をたくさん集めて作り上げたいと考える場合、できる限り、意見は目立たないように聞き取れるような環境設定が重要ではないかと思われます。私の書いているブログを読まれている事業展開を模索している方に、従業員の多くから率直な意見を聞くための一つのコツとなればと思います。

 

 はて…どれくらい、そのような方がいらっしゃるでしょうか…