ごまウシの頭の体操

認知症、緩和ケアなどが私の仕事の専らですが、これらに限らず、私が得た知見を広く情報発信したいと思います。インスタグラムも始めてみました。https://www.instagram.com/goma.ushi/

ものとられ妄想と多元宇宙論②

 昨日は、多元宇宙論の中でパラレルワールドのお話をさせて頂きました。このパラレルワールドのお話が、なぜものとられ妄想とつながるかを本日のお話で結んでいこうと思います。

 

 パラレルワールドについては、日々の出来事の中で、AやBと言った選択に迫られたときに、Aを選んだときの未来とBを選んだときの未来とでは、一緒ではなく、似ていても同じではないという世界が広がることになります。このように同じ時間なのに、条件が変わるだけで別の展開となる事象についてパラレルワールドという概念で同時間を歩んでいるというお話でした。

 ちなみにこの選択は、無数に存在し、A、Bの二者択一とは限らず、無限の選択枠も存在しうるため、パラレルワールドは、無限に存在することは確かなことです。

 

 さて、話は別のお話になりますが、次に出てくる話題はものとられ妄想になります。

 ものとられ妄想は、様々な状況で出現するのですが、今回出現するものとして比較的多い、財布の中のお金を抜き取られたという話題です。

 

 認知症に関連したものとられ妄想は、実は複数の事情が重ね合わせて出現していることになります。関連する因子としては、考えられるものとして代表的なものとして、記憶障害、時間見当識障害そして空間認知障害があります。

 

 財布の中のお金が抜き取られたというものとられ妄想は、記憶障害だけではないという風に考えられています。記憶障害の場合では、直前に買い物をしてお金がなくなったことについて記憶がないため、お金がないという訴えになるという事が推測できます。しかし、このときに若干矛盾しているところがあり、財布の中について記憶しているにもかかわらず、使ったあとのことを記憶できないという、記憶の選択性が生じてしまうことになります。そのため、記憶障害だけでは、綺麗な説明ができないことになります。

 一方で、時間見当識障害が重なると説明が可能となります。

 それは認識している財布の中身が、直前の財布の中身をイメージしているとは限らないことを意味します。財布の中については、イメージ的には、10年前のある瞬間のイメージの可能性が考えられるからです。その時の財布の中身と比べて明らかに少なければ、お金がないという認識になります。

 さらに、空間認知の障害が重なるとさらに複雑になります。認知症になると空間認知の障害により、見えない空間については、一体どういう構造をしているのかという事が全く推測できなく鳴るというものです。そのため、目の前の財布の中身は、当然その財布の中身であることは言うまでもないことですが、財布を閉じてしまうと、その閉じた中身は、その財布の中身とは異なる中身とつながってしまうことがあります。そうすると、過去の財布と現在の財布とが異なっていても、それがつながってしまうこともあります。

 

 このように、時間、空間、記憶障害が組み合わさると、本人が抱いている財布の中身とは異なる結果が開けると出てくるという事になり、ものとられ妄想につながります。

 

 認知症の型に取ってみると、財布の中身は、どの時代のどの段階でのどういう条件の記憶での中の結果なのか、開けてみないと分からないという事になります。過去のその財布のお買い物をする直前の中身で、当時買い物をしたものを買ったあとか買わなかったか、それとも買う前か、また別のものを買ったあとの中なのか…それが開けるまでイメージがわかないことになります。

 開けた瞬間に、結果が出てくるのですが、その結果が、異次元の結果の可能性があるので、その異次元の結果が出てきた場合に、ものとられ妄想となります。

 

 ここの財布の中身の異次元の世界がまさにパラレルワールドの可能性があるという事になります。

 

 ごまウシの頭の中ではなぜか、パラレルワールド認知症のものとられ妄想における財布の中身とがつながってしまいました。

 本日は、ごまウシの意味不明なお話に耳を傾けて頂きありがとうございました。

 書き綴りながら、なんとなくむなしくなってしまったのでした…。