さて、前回の記事に続き、今回は初期の認知症の特徴について触れていこうと思います。既に認知症の診断が下る状況ですので、生活に支障を来してしまっているという段階になります。そのため、それぞれに認知症性の疾患にもよりますが、具体的に周りから見ても明らかな症状が出てきます。
まず、生活に支障が出る状況であるにもかかわらず、独居生活をしていたりした場合はどのような状況になるかというところから触れていこうと思います。
一人暮らしのご老人は、多くいらっしゃいますし、その中で認知症を発症してしまった方もいらっしゃいます。まず、その方々のご自宅は、真っ先に明らかになるのは、以前に比べて乱雑な状態になるという事です。認知症の症状の代表的な症状として、いつもの場所に片付けられない現象が発生します。そのため、整理整頓ができていた方が、整理整頓ができなくなり、さらに、あらゆるところに誤った片付け方をするため、大切なものなどが見つけられなくなり、結果的に探し物が増え、探すとまたひっくり返すこととなり、部屋の中や家の中がどんどん散らかっていきます。結果的にはゴミ屋敷になってしまいます。そのため、ゴミ屋敷となってしまっているおうちには認知症を発症したご老人がお住まいである可能性が高くなります。
また、そこまでも行かないにしても、片付けなどがヘタになるため、冷蔵庫などの中のメンテナンスが上手にできなくなります。賞味期限切れのものが増えてくるのはありますが、普段の生活の中ではありがちな事柄なので、まだ許せるとしても、同じものがいくつも登場するというところあり、さらに言えば、冷蔵庫に本来入れるべきではないものが入っていたりすることが出てきます。
冷蔵庫の中に、テレビのリモコンが入っていたり、他にも老眼鏡やお財布などが入っていたりと説明のつきにくいものが治まっていることが出てきます。
もちろんその結果として、テレビのリモコンが見つけられなくなったり、お財布が見つからなくなるなどのことがなんて言うことが発生してくるわけです。
さらに、自分で分からないところに片付けてしまったこと自体記憶にとどまらなくなってしまった場合には、財布がなくなったことについての自分が行った行動であるという自覚がないために、誰か他の人がやったに違いないという確信を持つようになり、これが身近にお世話になっている方に対するものとられ妄想に発展したりします。
また、時間的な概念のブレも発生し、新旧次官の流れも混乱してしまうため、代表的なものとして、お財布の中身について、リアルタイムに把握ができなくなり、思い描いている財布の中身のイメージがいつの時のものか判然とつかず、現在の財布の中身とだいぶ異なるという事に混乱を覚え、誰かがお金を抜き取ったなんていう被害妄想が発生したりします。
症状としては、まだ多岐にわたりますが、サポーターがかなり困る時期はこの初期の認知症の時と言っても過言ではないでしょう。行動の誤りがある上に、現実の理解の混乱もあり、誤解とともに被害的に物事を捉えやすくなることに加え、以前に記述したBPSDが加わると、家族と大げんかに発展することも多くあります。さらには、自制心が低下しているため、とんでもなく激しくぶち切れてしまうことがあったりと、対応困難となることが多く、精神科病院への入院につながってしまうことも多々あります。
このような状況と向き合いながら、徐々に認知症は進行していき、次のステップとして中等症の認知症へと発展していきます。
次は中等症の認知症での症状についてお話ししたいと思います。