ごまウシの頭の体操

認知症、緩和ケアなどが私の仕事の専らですが、これらに限らず、私が得た知見を広く情報発信したいと思います。インスタグラムも始めてみました。https://www.instagram.com/goma.ushi/

荒削りの鶴

 本日ご紹介するお話は、本物の「鶴」ではなくて、折り紙で折られた鶴のことです。鶴を折るというのは、普段ではめったにない事ではあるのですが、不思議と今でも折れてしまったりします。レクリエーションやリハビリテーションなど行うときにはこの鶴を折るというのはよく活用される取り組みのこともあります。

荒削りの鶴

 さて、こちらの写真に登場する、決して上手におられているとはお世辞にも言いがたい鶴たちですが、こちらは、ごまウシの勤めている病院の研修医のブースにおいてあるものです。

 最初は何かのイベントのために地道におっているのかなと思ったのですが、その割にはあまりに拙いところがあるため…なんだろう??と思っていたのですが、ある日、某研修医がこの鶴のおいてある横で真剣に道具を使って鶴を折っていました。

腹腔鏡と鶴

 ごまウシは精神科の診療を行っているため、医療器具を使った作業はほぼないのですが、これから専門を定めて、技術を磨き上げていく研修医達には、あらゆる分野でも対応ができるように、技術を磨き上げる必要があり、写真にあるような、棒状なのかはさみなのか…といったような道具で鶴を織り上げていました。

 これは、腹腔鏡といわれる内視鏡をおなかの中に入れて、そのカメラ越しに行う手術の時に使用する鉗子達です。最も有名なこの道具を使った治療にごまウシたちは、通称「ラパコレ」なんて略して言いますが、laparoscopic cholecystectomy(ラパロスコピック(腹腔鏡下)コレシステクトミー(胆嚢摘出術))なんていう、おなかに3つの穴を開けるだけで胆嚢を摘出してしまう、手術があったりします。実際は、カメラ越しではあるものの、鉗子はこんな感じで、はさみみたいな取っ手を使い、つまんだりしながら、糸を結んだり、組織に割を入れたりと…手先となり手術を行う技術です。腹腔鏡がなければ、開腹手術になってり、身体にも相当な負担のかかっていたものが、とても負担の少ない手術に変わったのは、この技術をドクター達が身に付けて、実用的にできるようになったからと言ってよいでしょう。

 将来、現在拙い鶴を織り上げている研修達が、成長し、身体に負担のかからない腹腔鏡による手術を精密に行うことができる準備の鍛錬をしている最中というこの荒削りの鶴たちは、いずれ、すばらしい翼を広げて世の中に飛び立っていくことでしょう。

 

 ごまウシとしては、ただただ、微笑ましく見つめることくらいしかできませんでしたが、日頃の頑張りが世の中を支えている一つの姿と言えるでしょうか。