ごまウシの頭の体操

認知症、緩和ケアなどが私の仕事の専らですが、これらに限らず、私が得た知見を広く情報発信したいと思います。インスタグラムも始めてみました。https://www.instagram.com/goma.ushi/

認知症サポーターの最大の課題①

  ごまウシは、以前から触れています通り、認知症の診療とケアについて日頃取り組んでおります。この経験は、なかなかデータとしてお示しするのは難しいところがありますが、経験に基づいたアドバイスは、結果的に、患者さんもそしてご家族にも笑顔を導くことができていると自負しているところがあります。もちろん、そうは感じつつも、現実問題は、そんな生やさしいものではないことは確かなことです。

 

 認知症患者にとって、サポーターの存在というのは、命を守る立場でもあるため、とても重要な存在となります。力強い支えであり、そして、心のよりどころになっていることは間違いのないことです。

 しかしながら、認知機能障害という認識の変容などが、そのサポーターの存在を脅かすようなことになってしまっていることも多くあります。逆に攻撃のターゲットになってしまったりと、険悪な関係になってしまっていることもあります。

 

 サポーターとの関係性は、もともと険悪であるという場合は、なかなか難しいのですが、もともとは良好な関係にあった場合、険悪になってしまう理由には二つのことが大きく考えられています。

 一つは、認知症の症状としての、理解がゆがむことで、いわゆる誤解を導き、それがケンカなどのきっかけにつながり、サポーターが自分の事を意地悪しているような感覚になってしまうところと言えます。

 もう一つは、サポーターにとっての当事者である認知症患者は、「もともとはそんなんじゃなかった」という現実に直面している当事者の姿が容認できず、ついつい批判的になってしまうところも引き金になることもあります。

 

 この二つの原因は、同時多発的に発生してしまい、誤解が、サポーターをいらつかせたり悲しませたりしてしまう一方で、サポーターもできていない当事者の姿を叱責することで、当事者が不安であったり悲しみであったりすることが発生してしまったり。

 結果的に毎日は双方の攻撃の応酬が続き、険悪な関係が日々エスカレートしてしまうなんて言う事になってしまいます。

 

 さて、ここでこの険悪な関係を少しでも軽減するためにはどうしたらいいでしょうか?これがとても大切になるのですが、残念ながら、認知症の当事者にとって、その対策方法は、なかなか見出すことは難しいと言えます。薬物療法で、いわゆるコントロールするという事は別次元の意味でお手段ではありますが、これが全くの無効の場合が多く、薬物療法以外の点での当事者本人ができる対策は皆無に近いと言えるでしょう。

 一方で、サポーター側には…といえば、確かに対策は存在します。これを申し上げると、サポーターに多くのお叱りを受けるのですが、できるのはどうしてもサポーター側になります。何しろ当事者は、日々必死に認知機能障害を抱えて生活しているため、ゆとりがなく、真剣にやろうとすればそうするほど、周りにご迷惑をおかけしてしまうこともあったりします。

 

 次の記事では、サポーターがどのように対策を講じればいいのかを触れてみたいと思います。