さて、本日は、昨日に続き、認知症サポーターの課題について向き合ってみたいと思います。昨日のお話では、認知症当事者とサポーターとの間でどうしても険悪な関係になってしまう部分についてお話をさせて頂きました。
その中で、険悪な関係を修復したりするような対策が現実的に可能なのは、認知症になっている当事者ではほとんど難しく、むしろ、その点はサポーター側の対策にかかっているようなお話をさせて頂きました。
このようなお話ですすめますと、余計サポーターにストレスを加えているような感じになるため、お叱りを受けてしまいそうですが、認知症ケアの難しさは、当事者本人がそのことに対して対策を講じる能力自体も認知機能上難しくなっているという所があります。そのため、サポーター側がどうしても妥協的な対応をしなければならなくなってしまうところがとても厳しいところとなってしまいます。
この対策において、土台として考えて行くことは、もともと当事者と険悪な関係でなければ、険悪な関係を当事者が求めているわけではないという事です。もちろんサポーターも同じ気持ちであることは確かでしょう。そして、もう一つは、認知症の多くは、もともとの人柄が変化するわけではないという事(性格は、そう簡単に根底を覆すのは難しい事)です。
そのため、サポーターとしては、当事者の人柄に認知機能障害という霞や汚れがついてしまったらどのように感じてどのように解釈をするだろうかという事を考える姿勢が必要になります。このときの必要な情報としては、認知機能障害による行動障害や認識の変容の特性と、そして、もともとのその当事者のキャラクターです。
認知機能障害に伴う行動障害は、日々観察をしていると、情報が外部からなくても、その当事者の振る舞いを見ていると見えてくることがあります。そのため、やはり行動観察は重要になるでしょう。その行動障害と人柄とをつなぎ合わせることで向き合い方が見えてきます。
すなわち、「こんなことをするのは、このように考えて、このように勘違いをして起こす行動ではないか」といった方向性が見えてきたりします。そして、さらに言えば、「このようなときに、ああ言えば、きっと怒るだろう、あるいは、悲しむだろう、不安になるだろう」と言ったような、先の見通しであったりすることも見えてきます。
そのため、自ずと、サポーターとしては、前とは違う当事者の姿を見て、つい感情的に「○○はおかしいじゃない」などと叱責したり、ため息をついたりしてしまいがちなところをぐっと抑えることができるようになってきます。
さて、実は、最後のむすびがサポーターにとって一番大切なことですが、ここまで申し上げると、サポーターは我慢の連続になると言えます。そのため、短期的にはともかく、24時間365日エンドレスで続くこの向き合いに耐えられるかと言えば、必ず限界があります。
そこに最大の課題が存在しているわけです。
その最大の課題というのは、「気分転換の取り方」です。サポーターの方は、みなさんとても熱心で献身的で、全力投球をされていらっしゃるため、指導なんてとても申し訳ないと感じてしまうところがあります。
その方向性そのものがサポーターを苦しめてしまっている場合もあります。長期戦ですので必ず休憩が必要です。その休憩である気分転換が上手にとれているかどうかが鍵になってきます。
サポーターの方々は、全力投球ではなく、ほんの5分でも隙間があれば、その時間の気分転換を必ず意識するようにしたいただくことが重要になります。そして、介護サービスは、そのための利用と言っても過言ではありません。物理的にサポートできるという事で利用されていない場合でも、一部は利用してもらうことを提案していたりします。
気分転換を上手に活用すれば、当事者との距離感も上手に保てるようになるため、先述のような冷静な向き合い方もやりやすくなると思います。
ごまウシとしては、認知症当事者のバックアップだけでなく、サポーターのバックアップにも力を注いでおります。
どんなに大変であっても笑顔をなくさないように、そのような力添えができればと日々願っております。