ごまウシの頭の体操

認知症、緩和ケアなどが私の仕事の専らですが、これらに限らず、私が得た知見を広く情報発信したいと思います。

認知症の経過⑤

 さて、初期の認知症までは、まだまだ自分の事は自分で出来る部分が多く、確かに見守りは必要かもしれませんが、それなりに、自分の最低限のことはできていました。片付けや記憶の面、日常生活面での複合的な動作についてはできない部分はありましたが、慣れ親しんだ場所であれば、それなりにやっていけるという状況ではありました。

 

 さて、中等度になってしまうとどうなるでしょうか?

 

 中等度になると、徐々に目が離せない状況になってきます。

 先ずは慣れ親しんでいたはずの自宅ですら、迷子になるような状況となり、トイレやお風呂といった日々使っている部屋の場所が分からなくなるなど、自宅内で迷子のような状態になることが増えてきます。そして、歯を磨くや着替えるといった基本的動作についてもおぼつかなくなり、服を履いてしまったり、ズボンがまともにはけなくなったりと基本的な生活ですら、うまくいかなくなってしまうことが出てきます。

 記憶の錯綜も目立つようになり、まるで、20年くらい前にタイムスリップしたかのような古いお話をリアルタイムで過ごしているような会話をしてしまったりと、サポーター側は大いに混乱することも増えてきます。

 

 そして、外出になると、これがさらに目が離せない状況となり、今までならば、出かけた時に目的を忘れていても自宅になんとなく戻れていたのが、自宅に帰ることが分からなくなり、近所で迷子になるなどと言ったことが発生したりします。また、時には他人のお宅に訪問してしまい、そこを自宅だと主張するようなことでトラブルになるなど、近隣への迷惑も発生したりすることもあります。

 

 コミュニケーションについても、さらに難しくなってきており、最低限の会話としてのトイレがどこだと言った会話は成り立つものの、自分の気持ちを伝えたり、相手の話に耳を傾けたりすること自体が難しく、汲み取ってもらうことも最低限の具体的な事柄に限定されてしまうことが増えてしまいます。

 

 さて、BPSDについてですが、いわゆる認知症に伴って自分自身ができなくなってきているという事に対する羞恥心や不安や恐怖といったものは、徐々に、そのこと自体が理解できなくなり、そのような訴えはむしろ軽減する傾向にありますが、理解についての障害と現状の見当識の障害が強まるため、誤解に関連したトラブルは、さらに強まることとなります。サポーターが制止をしようとしても生死が利かなくなることも増えてきますが、制止が聞かない理由についても理解が難しくなります。頑固なキャラクターだと言ってもこだわっている意味がサポーターには理解できなかったりと、制御が難しくなり、精神科受診をして行動を抑える薬物療法などをやむを得ず行ったりすることも多くあります。

 軽度認知症と比べ、行動面をサポーターが○○を間違えて△△の行動をしていると行ったような解釈的な理解をすることがさらに難しくなるため、向き合うときの分析と方向性が難しくなってくるのが中等症となります。

 

 認知症への対応の中で、中等症が行動障害面での対応としては最も難しい段階と言ってもよいかもしれません。

 中等症の段階になると、多くの場合、自宅では目が離せなくなるため、可能であれば、デイサービスへの誘導をしたいところではありますが、デイサービスでもトラブルが起こりやすい段階でもあり、対応が難しい状況が続きます。

 

 このような段階の後、最終的に、重度および最重度という段階へ認知症のステージは進んでいきます。