昨日は、毎週ではありますが、外来診療を1日中行う、火車状態の日となっていました。忙しいという事は充実していること、そう解釈をして、充実感をさらに増強するようにしています。
さて、個人情報でもあるため、淡く触れることとなりますが、通院の時には、外来の特性上、ほぼご家族同伴をお願いしているところがありますが、熱心なご家族も多く、病気のことを一生懸命調べたり、マスコミ情報を得たりと、私も日頃の勉強を怠ると油断ならない状況になりかねないと言った脅威を感じることがあります。
そういう点では、インターネットに限らず、テレビなどの報道も、かなり専門性の高い情報を提供してくれているなと実感することがあります。
多くの場合は、その筋の専門医を招いて直接お話をしていただく場合が多いかと思います。所属している学会の主とも言える方々も登場していたりするのですが、少なくとも知っている方々は、新しい情報については、相当に慎重にお話をされていることが多いような印象がありますが…。
なぜかどこをどう間違えたのか、「いやいや、それについては、一部の論文で、検証を始めたにすぎなくて、実際に診療で行うことのできるようなものではない」なんて説明しないといけないほどのぶっ飛びの情報が当たり前のように外来で出来るかのようなことを主張され、求められることがあります。
認知症という病気は、進行したがんと同じように、完治が難しい疾患です。ご家族はみな、和良をもつかむ思いで必死に情報を集め、なんとかいい案がないか、担当医に提案をされます。その気持ちを考えると、「実際はね…」などと説明するのはとても心苦しく感じます。
こんなことから、一言マスコミ様申し上げておきたいことがあります。治療が難しい病気についての情報提供は、治療の選択をご本人およびご家族が知ることとなるため、とてもすばらしいことで、担当医がふっとぬけていた場合に、とても重宝する情報となります。
しかし、その情報については、かなり慎重に裏取りをしておく必要があります。最も良く耳にする情報としては、あくまで「治験」段階であって、保険診療で認められていないものが、まるで当たり前のように行われているような情報として伝わっていることがあります。もちろん、必死なご家族の思いから、そのあたりが抜け落ちてしまっていることもありますが、誤解を招くような情報提供が行われている可能性もあります。
まだまだ、医療は進化を遂げていくことでしょう。AIが多くの病気の診断を行うことの出来る時代も決して遠くない未来の事だと思います。血液検査だけで、あらゆる病気が分かってくる時代もあるでしょうし、さらにAIと組み合わせれば、治療方針まで、決まってくるかもしれません。
ただ…まだまだです。
マスコミ様、新しい情報は、取り扱いを特に慎重にしていただきたく、思いますのでよろしくお願い致します。