ごまウシの頭の体操

認知症、緩和ケアなどが私の仕事の専らですが、これらに限らず、私が得た知見を広く情報発信したいと思います。

身体的に異常はないが身体が病気ーーー1ーーー

 このタイトルを読まれてしっくり来られる方は、まずおられないことでしょう。身体に異常がないのに、身体の病気になっている…いったいどういうこと?なんて言うことになるでしょう。しかし、実際には、このようなお話は、ごまウシの診療ではよく見かけるものとなります。

 

 まず、身体的に異常はないというのは、どういうことなのでしょうか?

 この言葉は、一番よく耳にすると言えば、救急外来などの時間外診療に受診されたときに、おうちに返されるひとつの当直医や担当医の決まり文句と言ってよい言葉になります。時間外診療においては、当直医や担当医は、外来受診をされた患者さんが抱くような思いとは全く異なる考えで診療を行っています。これについては、批判的に聞こえる部分と肯定的に聞こえる部分とあると思いますが、ごまウシはあくまで医療者の立場ですので、この動きについては、肯定的に言わざるをえない部分がありますので、肯定していることに納得できなくても、渋々受け取って頂きたいと思います(冷たいなぁ…なんて言わずに、現実的なこととして…)。

 

 例えば、夜におなかが急に痛くなって、大変だ盲腸かもしれないと思って、夜に総合病院に飛び込んだとします。当直医が現れ、症状について伺いながら、おなかの診察を行ったうえで、まず一言「大丈夫と思いますが念のため、血液検査とレントゲンなど検査を行いますね。」と発せられることがあります。

 ピンと来た方は、カンが鋭いと思いますが、この一言の中に、とても重要な言葉が入っています。それは、「念のため」です。実は当直医は、この時点で、結論はほぼ確信しているという事になります。それは、「問題ないから帰ってもらうが、その裏付けを証明しよう。」と言う発想になっています。そのため、「念のため」という言葉を耳にしてから、当直医は、他の方の診察などをし始めて、おなかが痛いのに改めて姿を見せるときは、検査結果を説明するときまでお預けとなります。何しろ、当直医は、症状があってもおうちに帰そうと考えているわけですからね。まさに、ここで始まるのが、放置状態でまたされることが発生します。

 このことが冷たいと思うかどうかと言えば、症状を抱えて無理していらっしゃっている方からすると、むごいと思うかもしれませんが、当直医は、命に関わる問題や急いで対応をしないといけない人命を優先した行動に移っています。

 そのため、救急車が搭乗すれば、そちらにエネルギーを注ぎ、入院が必要と判断した患者さんがいれば、そちらの手配にバタバタし…と言ったように、おなか板で苦しんでいて、「念のため」の検査を指示された急患は放置プレイ状態です。

 

 そして、1時間以上またされた上で、当直医から「血液検査、おなかのレントゲンあるいはCTの検査の結果として異常はありません。大丈夫ですのでお帰りください。」と債務通告されます。

 聞いた患者さんからは「え!?」おなかいたは、どうするの?ってなるわけですよね。

 それを突っ込んで聞くと、「じゃぁ、おなか板の薬出しておきますね」と当直医によってはめんどくさそうな表情で、3日分ほどの薬が処方され…「帰れ」オーラ満載で看護師さんたちも対応してきます。

 

 ここで登場するのが、異常はないが、身体に症状がある状態です。これが、身体的に異常はないが身体が病気という状態という事になります。

 異常ないと言われて症状があるのに返された経験がある方ならば、まさに、これだ!と認識できるはずです。

 

 この身体的に異常がないが身体が病気について、さらに具体的に詰めて次にお話しします。