先日、通勤の乗換駅の自動販売機でペットボトルのブラックコーヒーを購入したところ、なんと、緑茶が出てきてしまいました。お値段の差があり、損した気分になりましたが、仕方がありません。これがまさにヒューマンエラーというものです。
自動販売機については、10年ほど前に、精神科に通院をしている患者の好みの傾向と総合病院を通院する患者の好みの傾向を比較する意味で、病院内に設置されている自動販売機のデータを自動販売機設置業者に協力をお願いしたことがあります。
この10年ほど前の状況でも、既に、販売されたデータは、エクセル形式のファイルにまとめ上がられてあり、売り上げ状況に応じて、物流システムが流れて、管理会社が、ドリンクを適切に充填している流れができあがっていました。
現在は、もちろん、データをお願いすれば、エクセルファイルで提供して頂けることは変わりないのですが、それぞれの自動販売機が光ファイバーで接続され、リアルタイムで、販売状況が把握されており、そのデータがAI処理され、重点のタイミングなどを加味しながら、予測して、ドリンクを納品しているという事を耳にします。
自動販売機で、売り切れランプを見る自動販売機を目にする一方で、ほとんど目にしない自動販売機もあったりと、この差はおそらくこのようなリアルタイムの物流システム管理によるものと考えられます。
コンピュータの技術により、各自販機は、適切な需要に対して答えられるように供給するドリンクの量を物流会社による定期補充されるようになってきているのです。そのため、ひとの力により自動販売機のドリンクを適宜補充していた時代と比べ、売り切れ率は下がったのではないかと思いますが、一方で過剰供給も減らせるようになったと考えられます。
売り切れというヒューマンエラーは、このようにしてコンピュータの力によりカバーされてきていますが、実際にドリンクを補充するのは、物流会社の方(ひと)ですので、その方が、充填する場所を間違えてしまえば、コーヒーを選んでお茶が出てくるなんて言う事が出てきてしまいます。これに対してのエラーをカバーする方法は、まだないのでしょう…。
ドリンクを充填しているときに、何か端末を操作しながら、本体と通信している姿を目にするのですが、最終的に充填作業は人の手…このヒューマンエラーはどうしてもカバーしきれません。
コンピュータ化の時代、人の役割は、なくなりつつあるものの、どうしても人でなければできないものが、残っており、さらに、その時に発生するヒューマンエラーは、どうしておコンピュータの力だけではカバーしきれないというものでしょう。
医療の世界においても、例えば、医師が処方した情報を電子カルテ経由で分包機に伝えられ、ここの薬剤を袋に自動装填され、各患者に配布される形となります。この流れの中で、情報伝達と梱包までは全てコンピュータで行いますが、実際の所、医師は人であるため、処方ミスが発生する可能性があり、さらに、その情報を実は薬剤師が整合性を確認するためにチェックを入れていますが、ここでも人の目が入るため、エラーを生じる可能性がありますが、医師のエラーをカバーすることで修正できることを期待してのチェックです。そして、最後分包された薬剤は、看護師により直接患者に渡され、内服は、多くは患者自身が適切な時間に内服し、看護師がそれを支援する形となります。
コンピュータで情報伝達は、ミスを伴うことなく伝えられますが、やはり、ヒューマンエラーはそれでも防げないことは確かなようです。
自動販売機は、おそらくダブルチェックなどのシステムはありませんが、人でしか出来ない部分については、どうしてもミスが許されない場合は、人が人をチェックすることを繰り返すことで精度を上げる、ダブルチェック、トリプルチェックしかないという事になります。
車掌さんが、独り言のように、「乗降よし」「後方よし」などなど、大きな声を張り上げているのも、コンピュータだけでは管理しきれない,人が確認しないと行けない部分を可能な限りミスがないように、鹿もダブルチェックなど複数の人で確認が出来ないため、一人でダブルチェックするために、声を上げて確認して、指さしするという作業までしているという事です。
自動販売機で、違ったものが出てきたとしても、怒ったりせず、コンピュータの限界を感じつつ、ひとの力が自動販売機を支えているんだという人のぬくもりを感じてもらえると幸いです。