ごまウシの頭の体操

認知症、緩和ケアなどが私の仕事の専らですが、これらに限らず、私が得た知見を広く情報発信したいと思います。

Speech in Noise (SiN)

 Speech in Noiseと言う言葉を耳にしたことがありますでしょうか?ごまウシもあまり耳にした記憶がありませんが、この話題について触れてみようと思います。

 Speech in Noise(以下SiNと表記します)は、そのまま日本語に訳すと、「雑音の中でのお話」と言うことになるでしょうか。イメージ沸きにくいと思いますが、たとえで言えば、幹線道路などの車の走行の激しい道の歩道で人の話を聞くと言う雰囲気を想像してもらったら分かると思います。あるいは、ファミレスなどで(食事をしながら)人の話を聞く雰囲気でしょう。

 例えば、ファミレスで人の話を聞くときに、とても大切な打ち合わせだったりした場合、時に了解の上でボイスレコーダーで音声を録音する機会があったりするかもしれませんが、そういった状況を想像してみて下さい。自分の手元のテーブルの上に置いてお話に耳を傾けたのをおうちに帰ってからボイスレコーダーを再生してみてびっくりしたことがありませんか?

 ボイスレコーダーには、相手の方の声は確かに入っているのだけど、周りの雑踏の音が圧倒してあまり聞き取れないという事がありますよね。あれだけしっかり聞き取って耳を傾けていたのに…。この人の声だけ選択して、しっかり聞き取る力があり、これがSiNにおける認知機能といわれているものです。最近の研究では、SiNにおける能力障害が認知症の発症前の段階から顕著に障害されているのではないかという指摘があります。

https://alz-journals.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/alz.12416

 

 確かに、高齢者でよく言われるのが、いわゆる老人性難聴として、人の話が聞き取れないという話題とともに、聞こえているときと聞こえていないときとがあって「勝手つんぼ」なんて言われていることがありますよね。

 実際は、SiNにおける認知機能が低下していることにより、人の声を選択することが出来ず、うまく聞き取れていない可能性も否めないとも言えます。特に集中力や注意力が低下しているときなどには顕著になる可能性があり、都合の悪い話を聞いたりするときは、イライラしていたりするため、人の話に集中できず、まるで「都合よく聞こえていない」感じがあるのかもしれません。

 

 都合がよいなぁ…なんて思われていることが、実際は、都合欲ではなくてどうしても聞き取れていないという現実が存在するかもしれません。当の本人にどうなのかという確認をする事は出来ませんが、ただ、確認するとすれば、静かな環境でお話をしているときと、周囲がややガヤガヤしているところでお話しするのとでは疎通性に差を感じたりする場合には、SiNにおける認知機能が低下している可能性があると言えます。

 

 まだまだ、SiNにおける聞き取り能力の低下が、いわゆる認知症発症の前段階かどうかについては、確定できるエビデンスまでにはなっていませんが、否定できるものではないため、耳が遠いと言われているお年寄りの方の人超の意味合いについてチェックを深めてもらうとよいかもしれませんね。