認知症ケアにおける、グループワークを含めた勉強会でよく話題になるテーマです。認知症の方に限らず、高齢者の独居の方などを想定した事例を通して、5年後を見据えて今の時点からの対策などを講じていくというものです。
例えば、一つの事例としては、夫に先立たれ、子供達は、遠方に嫁いで言ってしまった、独居の高齢女性に対しての今後のことを考えた場合のことです。年齢は80歳ですが、元気はつらつで、地域の公民館で、館長補佐のようなことをしつつ、健康体操などのイベントに参加し、タイミングがあれば、同年代の仲間とともに、海外旅行などに行っているアクティビティの高い方をイメージしてください。
5年後は、同じように元気でしょうか?
元気ならば問題ないのですが、いよいよ平均寿命である87歳に近づいている85歳の時に元気であるかどうか、なかなか想定するのは難しいものがあります。例えば、この方が自動車の免許を保有し、自動車に乗っていた場合、85歳の時点で自動車に乗り続けている可能性はやはり高いと思われますが、それは、安全なのでしょうか?
ベース疾患に糖尿病と骨粗鬆症とあったりして、転んだきっかけに、大腿骨頸部骨折なんて言う事を受傷してしまうかもしれないですね。
一人暮らしがたたり、泥棒ややっかいなセールスにやられてしまうかもしれませんよね。
他の事例としては、既に、若干の認知症の症状がある高齢男性で、奥様が介護をしているという老老介護に近い状態のご夫婦。認知機能は、確実に低下することが想定されている中、後に、身体介護も必要になるとなった場合、それを先手を打って対処をしておく必要がある場合も多いでしょう。その場合に、5年後を見据えたケアプランの日頃のトレーニングが役に立ちます。
先に挙げた事例は、5年後を想定するのは、とても難しく、現時点で介護を利用すらしていない状況でもあるため、議論しても空回りが多いのですが、二つ目の事例の場合は、介護の限界点が見える上に現時点でも若干のケアが必要な状況にあることから、先手を打った対策を講じることはk脳になります。
このような話題を本日振れたのには、年単位で認知症の方の診療を行っていると、最終的にその方が「不納得」施設入所が、発生してしまうことが時々あるときに、事前に納得できるだけの情報提供などをしてあげることができなかっただろうか等など、担当医として、思い悩んでしまうことが時々あるからです。
うまくいった場合には、事前にグループホームなどの施設見学をしておき、本人の意向も含めて、施設選びをしておいて、順番待ちの上、順番が来た時点で、タイミングとしてはまだ早いけど、二重生活を前提に先に入所し、ホームになれていきながら、本人の思い描いていた生活スタイルに基づいた施設生活につながると言った感じになることもあります。
微妙にうまくいった事例では、施設の話題を散々振れつつ、本人の拒否に会い続けた事例の中で、いざ自分が動けなくなり、家族の身体介護を受けながら生活するようになったときに、本人から妥協的に、「これだけ迷惑をかけるならば自分から施設へ入りたい」と施設情報から、希望を言われるに至った事例などがそれに当たります。
あれよあれよという間に、色々とトラブルが発生し、ご本人のトラブルの方に注目してしまい、生活環境に目を向けられず、結果的には、サポーターが限界を迎え、半ば強引に施設へ導いてしまう事例は、やはりどうしても存在してしまいます。
5年後を見据えたケアプラン。大切なことではありますが、なかなか難しいものがありますね。