最近メガネのレンズの汚れとフレームのゆがみの関係で、まつげがレンズに接触したりして不快感があったり、周りが見えにくかったりすることもあり、昨日から、いつもと違う眼鏡を装着して仕事をしていました。
普段のメガネは、実は、20年近く使い続けているもので、その眼鏡と色は違うものの、形はやや似通っている別のメガネを予備として持っていましたが、いよいよ調子が悪いということで類似しているものの、いつもと違う眼鏡を着用してみたわけです。
今までに仕事とかで装着していったことのない眼鏡であったため、いろいろと指摘されるかなと思っていましたが、1日目の入院患者からスタッフとの談話などから2日目の外来診療が完了するまでの間、一度も指摘されることなく終わりました。
一応、不細工ながらも、顔に装着したものなので、一人くらい指摘してくれる人がいるのかなと思っていましたが、まったく気づかれなかったことは、ショックとも取れそうな部分もありますが、やっぱり、そんなものかなと思う部分がありました。
顔そのものが変わったわけではありません。あくまでメガネの色が変わっただけです。この変化に、気づく人はまずいないということです。おしゃれを意識している方には大変申し訳ないことなのですが、大半の人たちは、個々の人の姿にそこまで細かく観察はしておらず、みな大雑把な把握に過ぎないということです。おおざっぱな把握だから、ちょっとの変化に誰も気づけないわけです。
このお話を聞いて、「あなたは、周りに特別関心や興味を持たれていないからそのように、眼鏡を変えただけでは気づかれないのですよ」などといわれる方がおられるかもしれませんが、試しに、何か、ちょっとだけ、スタイルに変化をさせて、公の場で活動をしてみてください。指摘されることはまずないでしょう。もちろん、中には変化には気づいているけど話題として持ち出すことをされない方もいらっしゃったかもしれませんが、おそらく、周りはほとんど気づいていないことだと思います。
さて、このようなお話から、少し、社会不安障害のような不安症状について、考えてみたいと思います。社会不安障害については、よくあるお話として、「周りから悪く見られているのではないか、そのような解釈が下されるのではないか」などといったことを不安に感じて、対人的に接することに強い不安や恐怖を感じてしまう現象です。周りが私のことを不快に思ったりするのではないかといった感触ではありますが、そのように周りの人が、一人一人の人に対して講釈を付けているような状況であれば、当然メガネが変わったりすれば、複数人からの指摘はおそらくあることでしょう。それが実際はほとんどないわけです。
このことからも、社会不安障害などのように、対人的なかかわりに対して不安をお持ちの方々は、自己の存在について過剰意識をしている可能性があると考えられます。私のような、眼鏡を変えても気づかれないという状況について、存在感がないだけかといえば、外来診療を行っているわけですので、患者およびその家族からすれば、一人の人に注目している状況の中で、その人のメガネが変わっていることに気づけないというのは、そこまで注目しているにもかかわらず、変化に対して鈍感であるという証拠でもあるといえます。
周りの人が、自分のことを不快に思うに違いないとか、批判的に見ているに違いないといった対人不安からくる自分を周りがネガティブに見ている解釈については、現状としては、ほぼありえないこととなります。よほどの奇抜な存在でない限り、周りはその変化などに気づけないほど、関心がないということになります。
いかがですか?寂しい思いを感じた方もいるかもしれませんが、一方で、ほっとした方もいるかもしれません。
世の中は、そこまで自分に注目したり、関心を持ったりしていないということです。一挙手一投足に注目されているわけではないので、ぜひ、のびのびと活動をするとよいのではないかと思います。逆に注目されたい方は、よほどの努力がない限り、周りの目には留まらないことでもありますので、目立ちたい方はしっかり気合を込めていくようにしていただくことをお勧めいたします。