ごまウシもそうですが、診療に使う医薬品には、全てこの添付文書というものがあり、それをきちんと読んで処方などをしていることになっています。お堅い文書なので、なかなか頭には入りませんが、必ず目を通すようにしています。
医師の処方が必要な医薬品だけに限らず、この添付文書は、ドラッグストアなどで販売されている風邪薬などにもきちんとつけられています。小さく折りたたまれた字の細かい書類を薬のはこの中から見つけた経験は多いのではないかと思います。
この添付文書を管轄しているのが厚生労働省がもちろん管轄していますが、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(通称PMDAと言っています)になります。
この添付文書には、医薬品の効能効果として、適応する疾患がきちんと書いてあり、その使い方のマニュアルのようなものが次に記載され、副作用などの情報がその後にずらずらと書いてあります。重大な情報については、赤枠に囲まれた形で書いてあったりします。
具体的には、実際に添付文書を見て頂くとよいと思います。サンプルで何がいいか…いろいろと考えた結果として、ごまウシが知っている医薬品でこれ以外に種類を見たことがないものを提示しようと思います(広く見て頂くブログですので、偏らないように考えた上での選択です)。また、ちょうど、この医薬品は、副作用など重大な問題がほとんどないため、添付文書が1ページで収まっているため、その点でも言いサンプルかと思いましたので載せてみますね。
このような形で添付文書には、製品名から成分、そして形まであり、効能効果も書いてあります。
因みに日常診療で、このトローチを処方するためには、保険病名で咽頭炎、扁桃炎、口内炎などの病名をつけなければならないこととなっています。病名なしで処方はできません。
そして、用法などについては、説明に書いてある通りに処方しなければならないこととなっていますが、「通常」と表記されているとおり、若干の「通常ではない」状態も想定して、多少は柔軟に処方をすることができるようになっています。この用法・用量の項目は、ドクター達は、とてもデリケートに見ており、柔軟なアレンジができるような表記があるかどうかに常に注目していると言えます。
「通常」という表現の他に「適宜増減」という表現も重要なキーワードになります。保険診療で認められない処方の仕方を行いますと、患者さんは窓口で3割を支払い、残りを医療機関は、健康保険組合(社会保険組合、国民健康保険組合)のほうに請求を行います。この残りが、添付文書のルールに則って処方されていない場合ははじかれてしまい、病院は、残りの7割分の請求ができずに利益が著しく下がってしまうことになります。
医薬品添付文書は、あくまで製薬企業が作成するものですので、実はこの添付文書が時に日常の診療にうまく合致していないことがあります。とにかく、製薬企業側の視点は、当然添付文書で書いた内容は製薬企業の責任であり、添付文書通り使われた医薬品で大きな損害が出れば、製薬企業側の責任が問われる可能性があるわけです。訴訟対策と言ってもよいような文書ですので、実際には、病気によっては、この添付文書通りでは効果が少なすぎたり、逆に過剰であったりする場合もあるのですが、よっぽどの問題が生じない限り、このルールに基づいて処方をせざるを得ないこととなります。
医薬品添付文書は、ごまウシにとっては、医薬品処方のマニュアルとしての基本であるため、原則的には従っております。しかしながら、添付文書の使い方は、開発当初に治験などで使われた使い方で安全性と効能を確認できた治験の被験者の集合したデータであって、個々の人を見て考え出されたものではありません。そのため、現実的には、添付文書の表現の中で許される範囲で、上手にバリエーションをつけて処方をしている現状があります。
医療は人と向き合うお仕事ですので、データも大切ですが、やはり目の前の人が主人公である必要がありますね。