ごまウシの頭の体操

認知症、緩和ケアなどが私の仕事の専らですが、これらに限らず、私が得た知見を広く情報発信したいと思います。

患者の権利!

 ちまたで病院が困る患者さんにモンスターペイシャント(Monster Patients)がいらっしゃいますが、彼らが訴えかける主張に「患者の権利!」と豪語することが多くあります。

 ごまウシも、何かしらお客様の立場となったときにクレーマーごまウシに変身することもありますが、できる限り、この姿に変身したくないと、対応してくれた方々に感謝の気持ちを常に持つように意識はしておりますが、体調が悪かったり、気分が優れなかったりするのが患者という立場です。気持ちのゆとりがなければ、イライラして、クレーマーと化してしまうことが多くあります。通常のお店で遭遇するクレーマーさんと基本的には同じですが、切実さは、お店よりも強いかなと推測したりします…。

 

 しかし、時には、このクレームが理不尽でなおかつ悪意の塊だったりします。これは本当困りものではありますが、クレーマーのみなさん、一般のお店で繰り広げるクレーマー行為と異なり、病院でのクレーマー行為はちょっと事情が違いますので、自重して頂くことをオススメ致します。

 

 「患者の権利!」…これは、確かにとても大切なことではありますが「!」は必要ありませんね。治療の選択の権利、治療の説明を受ける権利、治療に同意をする権利あるいは拒否する権利などがありますが、治療を要求する権利は必ずしも全てが満たされる分けではありません。一般的なお店の場合は、お買い物をする際に、商品を要求する権利を有していますが、これは100%の対価を支払うことで成立するものです。

 病院の場合はどうでしょう?

 窓口の支払は3割が基本ですよね…。7割は誰が支払うでしょう…?そう保険者です。

 患者の権利に基づいて、治療を要求しても、治療者は保険者の同意を得られない治療を施すことは出来ません。何しろ保険者は7割の医療費を支払ってくれますので、保険者に背いて治療することが出来ません。

 「オレの不眠は重症だから、レンドルミンは、1錠では眠れないから1日4錠出せ!」なんていう露骨な要求はまずないですが、わかりやすい例としてはこんなクレームが一つに挙げられます。保険診療では、睡眠薬であるレンドルミンは、基本1日1錠でさらに、保険者との約束事で、1回に30日分までしか処方できないという取り決めがあります。そのため、4錠を処方すること自体保険者との約束違反になりますので、「患者の権利!」と3割の主張は7割の保険者の主張には勝てず、あっさり却下されます。

 ならば…ということで、1錠は保険で、残りの3錠分は実費で購入すると主張されても、そうはいきません。混合診療は基本認められていないため、1錠保険、3錠自費診療はありえなくて、100%自費診療ならば、可能性としてはあるという事になります。この場合は、窓口でとんでもない価格の医療費を請求されることになるでしょう。

 

 さらに、悪意のある方の中には、一つの病院では規定の量しか処方してもらえないけど、他の病院に初々しく受診すれば、また処方してもらえる…これを4施設巡れば4錠ゲットできる…なんて言う事をすると4倍処方が可能になると言う事で、実際病院や診療所をぐるぐる巡っている方がおられると耳にします。

 しかし、これは、患者の権利の一環として許されるかと言えば、窓口レベルでは許されますが、保険者は黙っていませんよ。何しろ、各窓口では3割だけの支払いを済ませているでしょうけど、回り回って、保険者へ複数の病院から請求書が重ねられてきます。

 私が「耳にしている」というのは、このような悪行を保険者は黙っていないことです。先ずは、出没する医療圏の医師会に保険者が情報を投げます。それを耳にした医師会員(病院や診療所)がその方に対して処方を拒む対策を講じ始めます。そのため、近隣の病院は軒並みその方への睡眠薬の処方を拒み始めます。地元での処方を受けられないその方は地区を越えて処方を求め回って行かれますが、保険者は負けじと医師会へ情報を撒いていきます。

 そして、最終的には、この悪行は、保険者から事業所などへの通達され、保険証を取り上げられるという事態となり、病院を受診すると全てが無保険の10割負担となってしまいます。

 

 患者の権利、実際は3割の権利であることをお忘れなく。(通常の病院通いをされている方には全く関係のないお話ではありますね。)