ごまウシの頭の体操

認知症、緩和ケアなどが私の仕事の専らですが、これらに限らず、私が得た知見を広く情報発信したいと思います。

認知症の経過⑥

 さて、本日は、中等度の認知症からさらに進行をしてしまった、重度認知症について触れてみたいと思います。

 重度認知症は、おおざっぱなところで言うと以下の二つのことがあると言えます。

 

・会話が成り立たなくなる。

・トイレという概念を失う。

 

 すなわち、話しかけても、なんとなく取り繕うような返事が返ってくるが分かっているのかどうかは微妙であるという状況で、もちろん、痛い、痛くないとか、具体的で限定的な事柄のコミュニケーションはとれるものの、普通に会話ができる状態とは言えなくなる状況を指し示しています。

 また、トイレという概念を失うという事は、それまでならば、トイレの場所が分からなくても、トイレという場所に行けば、用を足す場所であるという事は理解でき、また、トイレの取り扱いは間違ってしまっていても、トイレであるという事は、理解できていたと言うのが中等症までの段階でした。重度になると、トイレを目の前にしても、これがなんのためのものかを理解することができず、用を足すことができなくなると言うことと、さらに、用を足すということ自体もかなり微妙なところとなり、随所での放尿行為につながったり、おむつ内失禁の状況となったりします。

 

 そのため、多くの場合は、在宅でサポートするには相当な困難を要するようになり、ほぼ毎日デイサービスを利用してもらい、夜間などは家族総出で面倒を見る必要が出てくるため、施設への誘導として特別養護老人ホームなどの入所につながることが多くなります。

 

 この段階になると、今まであった口げんかや妄想と言った誤解などから生じる対応困難さはなくなっていき、むしろ行動障害に対する身体的ケアが必要となるようになり、一気に身体介護が増えてくる段階となります。

 今までならば、例えば、トイレについて触れれば、トイレの場所が分からず、うろうろとしている間に間に合わなくなり失禁という状況はあったにしても、いつでもどういう状況でも知らぬ間に失禁している状況というのはなかったはずなのが、ちらほら認められるようになるため、日常的に紙おむつを使用する状況が出てきます。

 

 また、中等度の段階から、徐々に活動の動作が緩慢化することが顕著となり始め、重度になると、歩行などのペースもだいぶ低下してくる状況となり、また、注意障害と危険回避能力の低下があるため、転びやすい状況が一気に増加してきます。転倒、転落が頻発する時期でもあります。

 

 認知症という病気は、一部の脳血管性認知症およびレビー小体型認知症のパーキンソン症状などを除けば、身体的に不自由さはほとんどなく、認知機能の低下とともに、そのことが問題となり徘徊や暴力行為につながり制御が難しいという状況が続いてきましたが、重度認知症という段階になると、頭部の精査でも明瞭化しているのですが、全般的な脳萎縮が進行してしまうこともあり、身体機能が徐々に低下してくるため、体力的な面の低下や反射神経などの低下、バランスなどの悪さなどが目立つようになります。

 

 重度の認知症になると、コミュニケーションそのものが難しくなり、その結果として、疎通がほぼ困難という段階に入りますが、一部を除き、ほとんどの認知症の方は、やはり相手の表情を若干でも汲み取ることができます。笑顔で接すると笑顔で応じ、無表情で対応すると不快感を感じたりするなど、理解はできなくても、雰囲気的な認識はできているようです。

 そのため、サポーターが疲れていると、不安になったり、機嫌が悪くなったりすることもあり、とても負担の多い状況でも、サポーターも適宜気分転換をする必要があると言えます。

 

 最後に、次のステップでは、最重度という段階についてお話ししていこうと思います。