今回は、ごまウシとしては、大きなテーマをできるだけ、シンプルにまとめて見ることにしようと考え、タイトルの通りのテーマでお話をして見ようと思いました。
認知症は、もちろん、アルツハイマー型認知症と言われる、多くの方が認知症のイメージを持たれている疾患以外にもいくつかの疾患が存在し、経過は様々となるのですが、それらを和集合的にまとめ上げて、症状の始まりから最終段階までの経過をまとめてみたいと思います。
このシリーズが、認知症と関わっている方々の一つの参考となればと思います。
まずは、認知症のスタートの段階ですが、多くの方が、まず最初にいつもと違う異変に気付くとされています。周りには悟られない状況でのなんとなく今までのような事ができなくなった状態というものです。
たとえで言えば、普段当たり前に使っているはずの言葉がとっさに出てこない漢字になり、言葉に詰まるようになった感覚になり、周りには気付かれていないけど、なんとなくしゃべりにくくなった感覚があったりします。
また、活動意欲の面ではなんとなく、頭の中では色々とやろうと考えるのに、気付いたら何もせずに過ごしてしまったといった場面が増えてきたと自覚するような段階があったりします。
あとは、普段当たり前のように使っている家電製品や道具の使い方がとっさに分からなくなり、時間をおいて改めて確認すると使えるようなヒヤッとしたことがあったり…と、なんとなく、日々の基本的な生活がうまくいかない感覚になったりすることがあります。
また、周りとの関わりの中で、対人関係がもちろん困ることなどはあるのですが、今までとは違って、普段なら、相手の表情なども理解できるのに、とっさに分からなくなったり、相手の言動に対して、容易に理解することが難しい感覚に襲われたりといった体験をするようになります。
今、あげたような症状は、認知症かもしれないと感じられる主観的な感覚で、Subjective Cognitive Decline(SCD)と言われる範疇の症状で、そのまま認知症に発展してしまうことがありうる物ですが、もちろん、様々な因子により、そのような感覚になることもありますので、絶対に認知症になるという物ではありません。ただ、最初の最初の段階では、自覚している方もいるというのが様々な聴取により分かってきています。
認知症については、脳画像分析により、さらには、各種認知症に病態によって蓄積される物質のマーカー評価により、認知症症状が出現するよりもだいぶ以前から変化が発生していると言われているため、その変化の影響が、じわりじわりとにじませられたときに、この最初の段階があると言われています。
自覚症状だけで専門医にかかるのは非常に難しいところで、さらにSCDについては、日本国内での認知度はとても低いため、専門医にかかっても、しっくりした答えがもらえないことも多い症状でもあります。大切なのは、認知症は慢性疾患という事もあるため、この困ったなという感覚が変わることなく毎日認められているかどうか、目立つようになってきていないかどうかと言う点が注目点になり、一時的なものというものについては、多くの場合は無視してよいと考えられます。