昨日に続き、交通事故に伴った頭部外傷後の後遺症について、触れたいと思います。
事故に遭われてしまう方は、ほとんどの場合現役世代と言ってよいと思います。脳損傷にしても高齢者を中心に発症する脳卒中とは年代層の違いがあります。
交通事故による頭部外傷は、それまでは何ら問題のない健康な状態だった方が、けがにより突然の脳損傷に追い込まれる現象で、本人も周囲もその変化を受容できないとんでもない状態から始まります。もちろんスタートは意識障害からになるのですが、意識障害から回復したときに待ち受けているのがとてつもない辛い現実というのが頭部外傷です。
事故に遭う前はどうだったんだろう?
生活の歴史や職業歴などそれから事故に遭わせラ状況などから、以前の生活歴などを想像して診療したりする訳なのですが、最初にお目にかかるときは、視線は合わせられるけど、無言であったり、うなり声しか上げられない状況、突然暴れる方であったり…。
頭部外傷は、その後遺症は深刻であるにもかかわらず、回復しないと言われてきた経緯があります。しかしながら、ごまウシが見てきた限りでは、回復しないという言葉必ずしも正しくないと言えます。
脳卒中の麻痺などからの回復については、なかなか難しい現状は確かに事実ではありますが、頭部外傷については、回復を目にすることがよくあります。
おそらく、脳損傷を起こした直前の脳の状態が健全であったことに回復の傾向が目立つのかもしれません。
そう、最初お目にかかったときは、たとえは非常に不謹慎ながら「動物」的な応答くらいしか出来なかったのに、しばらく見ているうちに、退院直前の姿は、箸を持って自分で食事をとられている姿になっていたりすることもあります。
そう、脳波回復するのです。もちろん、1週間やそこらで変化があるわけではありません、限りなく長い時間をじっくりじっくり見守ることで、確実な回復をもたらすことが出来ます。叫んで介護抵抗ばかりの人が、手を振って挨拶をしてくれるまで回復したり、先ほどのように、食事を自分でとったり、誘導すればトイレも自分で行けたりと…。
大変な脳損傷ですが、諦めてはいけません。脳の健康状態が直前までよかった場合、損傷の重度にはもちろん寄りますが、回復しないわけではない…。それが重要なことだと、ごまウシは思ったりします。
リハビリや機能回復へののぞみは、決して捨ててはいけないと思います。