認知症自体もとても本人にはストレスを感じる病態ではありますが、その中でも、さらに、強いストレスを感じると考えられる認知症について、今回はご紹介したいと思います。
まずは、症状について、あくまで、似たような体験という形で例を挙げると次のような感じになります。
あなたがもし、こんな状況になったら、どう感じるでしょう?
…
ある日、目を覚ますと、そこはいつもの光景だが…
周りの人が、みな聞き覚えがあるけど、外国語をしゃべっている。
英語の単語?なんだろう、聞いたことはある、しかし、何語だろう?
突然話しかけられる、「コンパス?」聞いたことはあるけど、なんだ?
「コンパスは何だっけ?」
あれ…みんな驚いているけど、結局コンパスって何?
みんな、聞いたことがある言葉をしゃべっているのだけど、さっぱり意味がわからない。
何を言っているんだろう?
そう、これは認知症の一つの症状なのです。
言葉の意味がわからなくなる認知症です。
名前も、意味性認知症といっているものです。
比較的年代的には若い年代層から認められることのあるタイプの認知症の一つで、アルツハイマー型認知症のようなもの忘れがさほど目立たないにもかかわらず、言葉の意味が失われ、しゃべることは出来るが、しゃべっている言葉自体の意味がわからず、もちろん話された言葉の意味もわからないという事態に陥ります。
挨拶とかは流暢に出来、またとっさに言葉が、自然に発せられるため、しゃべられると思ってしまうところもあるのですが、実は発せられた言葉の意味がわかっていないという大変な状況です。先ほどのお話で「コンパスは何だっけ?」はとっさに発せられた言葉ですが、何だっけ?って言っているので、「何だっけ?」を理解しているかと思えるようにみえますが、実はわかっていなかったりするのです。気持ちが発せられた言葉であった、理解が伴っているわけではないのです。
とにかく、周りが、効いたことがあるにもかかわらず全く意味がわからない、そして、自分でしゃべっても意味がわからない。自分がしゃべっている言葉の理解ができないと言う訳のわからない状態となります。
あまりに恐ろしい状態になるため、しゃべらなくなってしまうわけです。
コミュニケーションが全くとれなくなってしまうため、サポーターも大変ですが、周りの言葉が全てわからないというのは、耐えがたいストレスと言えます。
意味性失語症、対処方法は、いろいろと思案されていますが難しいのですが、初期であればジェスチャーなどがなんとか通じることもあるため、身振り手振りを活用することでなんとかなることもあるが、最終的にはそれも通じなくなってしまうので、コミュニケーションがほぼ表情で汲み取るしかなくなってしまうと言う状態になります。
認知症と言っても、症状は様々ではありますが、とにかく、症状に直面した本人のストレスは、底知れぬものがあり、どうしてもそのストレスのため、イライラしたりしてしまったり、行動がまとまらなかったりすることが多くありますが、ぜひ、サポーターは、慣用に見守る姿勢を忘れないようにしていただくことが大切と想います。
ただし、サポーターもストレスを一杯ためるので、きちんといきぬきをする事も必須であることを忘れないようにしておくことが大切です。