ごまウシの頭の体操

認知症、緩和ケアなどが私の仕事の専らですが、これらに限らず、私が得た知見を広く情報発信したいと思います。インスタグラムも始めてみました。https://www.instagram.com/goma.ushi/

コロナワクチン集団接種担当医をしました。

 病院の業務の一環として、コロナワクチン集団接種の問診の担当を先日行いました。このように書きますと、医療の先頭に立って、頑張っているように見えてしまいがちですが、もちろん、病院で行われている業務の一環で集団接種に対して医局全員で協力するという方針に基づいて、担当医の一人としてこなしてきたに過ぎません。集団接種を担当して、感じたことを触れてみたいと思います。

 まずは、集団接種を行うまでの準備段階からです。この準備が徹底しているからこそ、担当医は単に問診のチェックに専念し、可否の判断とともに、注射後の観察の指示などを適切に出すことができました。集団接種を実施するためには、事前の自治体行政側の接種県の適切な配布が必要になります。そして、さらには適切な予約などの取り組みが重要になります。この摂取券の発行からきちんとした予約、そして、ご家族の協力も含めて、確実に来ていただいて、摂取に協力してもらうことで初めて集団接種が実現すると言えます。この下準備の完璧さのおかげで、二人の担当医で約100人の集団接種を2時間弱で完了することができました。しかも、終了した時点でワクチンは過不足なく使い切ることもできました。すばらしいとしか言いようがありません。

 次に、一人一人の接種に対する流れをきちんとガイドするスタッフの力です。とにかく、2時間で100人ですので1分に1人程度のペースです。特に高齢者の接種ですので、問診のお部屋に入られるまで杖歩行だったり、車椅子だったり、もちろんとても高齢者とは言えないスタスタシャキシャキの方もおられます。さらに、接種時に方まで腕を露出することにどれほどのペースで協力いただけるか…これらの接種者に対してこれだけのスムーズな動きを、接種者にストレスを与えることなく、滑らかに行う必要があり、このシステムを作り上げるのに、何度となく予行演習を行い、流れを確認してきました。

 さらに、接種までの流れでミスがないようにするための流れです。まずは、注射液の準備は、複数の職員が裏側で必死に作成をしていました。この作成している現場は見ることはありませんでしたが、確実にミスの内容に必死にやっていらっしゃったことは確かです。そのできあがった注射が問診室に運ばれてきています。とても幸いと感じられたのは、作成された注射は全て同じもので、誰に注射を施しても良いことでしょう。それぞれの方用にシールなどを用いて個別に分けられていたら、とても大変です。とにかく、全員が同じものを接種するという事が集団接種においては重要です。ちなみに当院では接種を実施するのは、日頃からインフルエンザワクチンや肝炎ウィルスワクチンなどを日常的に接種を実施しているベテラン保健師が担当しました。保健師は、敢えて椅子に座り、足でダストボックスを挟み込み、この姿勢で、接種者に注射を行い、使用済み注射はまたにはさんだダストボックスにそのままボトンと捨てるという形をとっています。これにより針刺し事故や使用済み注射が未使用のものと混じることを避けることができます。

 最後に私の仕事である問診ですが、とてもきめ細やかなマニュアルが作成してありました。このマニュアルがあれば、極端なところ…何も知らない一般の人でも可能では…なんて思うくらい、オートマチックに行うことができます(接種の事故に対する責任は、この問診を行った医師が抱えることになりますので、医師が関与しないといけませんが)。マニュアルでは、問診内容に対する注意事項などが細かく存在しているだけでなく、案外ワクチン接種の注射そのものは、痛みが感じられにくいため、高齢者の方の中には、打ち終わったことを忘れて再び並ぶかもしれないという事もあり、きちんと注射を実施したという事を確認したらそこに、「済」印鑑を押して間違って複数回打つことを避けるなど、戦略的な動きのマニュアルまでありました。

 インフルエンザの予防接種、B型肝炎ワクチン、A型肝炎ワクチン、それ以外にもいくつかの予防接種やワクチンは今までの業務の中では行ってきましたが、副反応でこれだけ盛り上がっているコロナワクチン接種で、政府の焦りが見えるとおり、バタバタ行う接種について、私のような者が無事にこなすことができたのは、全てが多くのスタッフが事前に綿密な準備をしていたことによるものです。さらに、接種の間中、医師用のマニュアルを作成していた当院のワクチンの専門の先生が定期的に巡回し、声かけをしてくれたことも重要でした。

 

 こんな体験ではありますが、みなさん、今は高齢者の接種ではありますが、私たち現場は、みなさんにきちんとワクチン接種できるように全身全霊を注いで準備を進めて迎え入れをする体制を整えています。全国で、いろいろとミスのお話はありますが、ミスは人間ですのでなかなかなくならないかと思いますが、それでもミスから新たな対策を追加して、きめ細やかな対策を講じてみなさんにワクチン接種を提供していきますので、政府の言うとおり、ワクチンが供給されれば、年末には全ての国民に一通り接種が完了するように医療体制としては動ける自信を持っていることをここで触れさせていただきます。アナフィラキシーや特に2回目の筋肉痛や倦怠感、高熱など副反応は気になりますが、私たちは安心して接種できる環境を提供できるように毎日毎日取り組んでいますので、ご安心ください。