ごまウシの頭の体操

認知症、緩和ケアなどが私の仕事の専らですが、これらに限らず、私が得た知見を広く情報発信したいと思います。

取り繕い

 このタイトルからアルツハイマー認知症を思い浮かべることができる方がおられれば、なかなかの通だと思います。今回のテーマはまさに認知症の代表格でもある、アルツハイマー認知症になります。

 なかなか診断が曖昧なことがあったり、時代とともに基準が変わったり、さらには、重なっている方がおられたりという事で、診断そのものがぶれている状況は現在も変わらず続いておりますが、アルツハイマー認知症認知症全体の過半数を占めていると言われる認知症になります。そのため、一般的に認知症と言えば、このアルツハイマー認知症をメディア等もそうですがイメージすることとなります。

 そもそもアルツハイマー認知症は、どんな認知症かと言われれば、最初の症状にもの忘れという者があるという点では、「普通の認知症じゃん」という感じに捉えられると思います。まさに、その通りで、もの忘れ症状として、同じ話を繰り返してしまったり、同じものを何回も買ってしまったり、そして、自分のやってきた行動が覚えられないなどの記憶障害が目立ちます。その一方で昔の事柄については覚えているため、昔話は良くされるところが「普通っぽい」感じを醸し出すことで、忘れっぽいけど年のせいだろうなどと初期の頃は軽視されがちなところがあります。

 しかし、進行してくると、時間的な概念が障害されることにより、季節感を失い、さらには、場所についても、きちんと把握することができなくなり、自宅から、何かの思いつきで出かけてみた者のその目的を忘れ、うろうろとしてしまった結果として、自分がどこにいるのか把握できなくなり、果てしなく遠くまで歩いてしまうような徘徊が発生してしまったりします。複合的な動作も難しくなるため、服の着替えなどが難しくなり、服の着る順番を間違えたりするようになります。お部屋の片付けなどもできなくなり、部屋は散らかり放題になるといった状態となり、ものがないと常に探し物をすると言った事態になります。活動意欲も低下をし、散らかった部屋の中でぼんやり過ごすことが多くなったりします。さすがにここまで来ると、周りが焦り出すのですが、この時点で既に認知症としてはだいぶ進行してしまっていることとなります。

 アルツハイマー認知症については、細かくはいろいろとありますが、今回、その中で代表的な症状である「取り繕い」について注目してみようと思います。

 

 取り繕いとは、もちろん言葉は普通の一般的な理解で構わないのですが、いわゆる、はぐらかすようなごまかすような、その場を上手にしのごうとする仕草のことを指し示しています。アルツハイマー認知症の初期の頃から見受けられる、症状を上手に組み合わせたような、症状と言っても過言ではありません。そのため、この取り繕いの特徴を知っていると、アルツハイマー認知症について早期発見につながると言えます。

 取り繕いに至る流れとしては、アルツハイマー認知症のいくつかの症状の多幸せで説明ができます。まず、一つには短期記憶障害(ちょっと前にあった出来事などを忘れてしまうこと)があります。これだけでは取り繕いにはなりません。次にあるのがアルツハイマー認知症は、初期の段階では社会性が保たれていることにあります。社会性というのは、周囲に人に合わせて和を保とうとする動きです。社会性の保持と短期記憶障害が合わさると、記憶障害によって周りの話しについて行けなくなっても、なんとなく上手にうなずいたりして場の状況に合わせた応対ができることになります。まさにこれが取り繕いそのものですよね。

 さらに取り繕いは、以下のようなことから発生することがあります。これはアルツハイマー認知症に比較的多く認められる失語の一つで、上手に今のところ日本語訳は定められていないようで、Logopenic aphargia(ロゴペニック失語)などと言われている失語症状が導いていることがあります。ロゴペニック失語は、私たちにおいても時々あることなのですが、いわゆる言葉自体は理解しているし覚えていることなんだけど、とっさに出てこない現象のことを言っています。例えば、ものの名前や人の名前などもそうです。このロゴペニック失語のチェックをする検査として、長谷川式簡易知能スケールにおいては、「野菜の数を思い出せるだけ10個あげてください」という質問項目があります。みなさん、10秒以上の間隔を開けることなく一気に10個あげられますか?10秒以上思い出せない時点でこのチェック項目は終了となります。5個までが0点、そこから6個で1点、7個で2点…採取10個で5点となります。

 このロゴペニック失語により、次のような、質問に対しての答えが返ってくるようになります。「好きな食べ物はなんですか?」に対して、「大抵のものは好きで、何でも食べます」といったような、感じの答え方になります。これもまさに取り繕いです。好きな食べ物を瞬間的に答えられないために、ごまかしのために「何でも」という言葉を使いながら、会話を合わせてしまうことにより、その場の会話の流れを上手に交わしてしまっています。

 さらに時間的な概念がぶれてしまうことによって発生してしまうのが、自分が今現在実年齢でいくつかという事がぶれ始めることです。そうすると、年齢を聞いても正確な年齢が自信なくて答えられなくなります。そのため、「お年はいくつですか?」という質問に対して「えっと、昭和○×年□月△日生まれだから…」と答え、まるで質問者にそれをヒントに考えてもらうように投げ返し、答えたような満足した表情でごまかすようになります。似たような行動としては、家族が後ろにいた場合には、「いくつだっけ?」と後ろを振り返って聞いてしまう行動になったりします。後ろを振り返る現象を「振り返り現象」などと名前がついているくらいですが、取り繕いとともに、合わせてよく見かけられます。「何が好きですか?」に対して「なんだっけ?」(後ろ振り返る)、「朝ご飯は何を食べました?に対して「そうそう、あれだよね?」(振り返る)と言った感じです。取り繕いと振り返り現象はセットになることも多いですね。

 

 本日のお話としては、アルツハイマー認知症の症状の特徴である、取り繕いについて触れました。アルツハイマー認知症は、現在の診断では認知症の中の過半数が占めていると言われている疾患となり、認知症の対応としていち早くから計画的に向き合っていく必要があります。そのためにも早期発見として、この取り繕いを早期に気づけるようになると早期診断につながり、早期の対策を講じることができるようになると考えられます。取り繕いには十分ご注意ください。

 

 

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