ごまウシの頭の体操

認知症、緩和ケアなどが私の仕事の専らですが、これらに限らず、私が得た知見を広く情報発信したいと思います。

介護抵抗が発生する原因 ---1---

 最近では、介護技術も向上し、介護の世界では、介護抵抗についての一定の対応方法などが見出されているかと思われます。しかしながら、未だに、十分な理解がもたらされていない施設も実際あるようですので、改めて、介護抵抗についておおざっぱではありますが見直してみたいと思います。

 

1.介護抵抗とは。

 もちろん、介護を行う施設において利用者(入所者)が介護を施す職員に対して抵抗をするという事を介護抵抗と行っています。この介護抵抗は、何も理由がなくて発生しているわけではありません。食事の介助や排泄の介助、トランスファー(移乗など)における抵抗など、様々な介護シーンにおいて発生しています。介護という名前はついていますが、医療機関においても、点滴に対して自己抜去をする。酸素マスクの剥ぎ取り、その他傷などの処置に対するケアを激しく抵抗して逆らうことなどがあります。リハビリテーションに対する拒絶もこの中に含まれるでしょう。

 介護や看護など、人にサポートを施しているという行為に対して、なぜ、このような抵抗というものが発生しているかという事について、既に、様々な理由や原因が分かってきてはいますが、改めて見直してみることが重要と考えられます。分かっていても、「忘れている」と言うことがありますからね。ある意味、これから書いていくことについては、当然と言えば当然という事も含まれていますが、それが当然として現場で認識されているかどうかを改めて見直してみる機会となればと思います。

 

2.利用者(入所者・患者)が原因となる介護抵抗

 介護を受ける側が原因となる場合の因子については、とても恣意的なものから意図はないものまで様々です。恣意的な意味合いの強いものから、うすい方向へ原因を並べながら検討してみましょう。

 まずは、そもそも、そのケアそのものが嫌いな場合。代表的な理由としては、羞恥心ですね。排泄介助などは、自分がされた場合のことを想像していただくと、わかりやすいのですが、「おしりをひんむかれて、便座に座らされ、”はい、ここでしてね”と見守られる」この状況で用が足せるでしょうか?サポーター側の気持ちは、置いておいて、介護される側だけの気持ちで考えると、とても耐えがたいものとなります。そのため、何が何でもそのような状況を避けようとします。この発展系としては、病院で、転倒のリスクがあるため、トイレに行くときにはナースコールをしてくださいと行ってもナースコールをせずにトイレに行く方が一例となるでしょう。とにかく、用を足すことを報告したりするなどはとても恥ずかしいと感じることなのです。なので、こっそりです。職場でみんなの前で「これからトイレ行ってくるね!」なんて元気な声で言えることはまずないでしょう。(たまにおられますが…。おそらく別に理由があるからですが。)介護の場では、特に、サポーターの目の前で用を足すことをしないといけません。できますか?理解していてもできませんよね。

 次に、そもそも、人に言われたことに従うのがとても苦手な方。指示されると反対のことをしたくなるような、悪意がはらんでしまう場合もあるかもしれませんが、自尊心の非常に高い方はやはり、自分のことは自分でしたいと思うでしょう。いやな物はいやだという態度を明白に示されることにより、介護抵抗は発生します。

 さて、今度は、このような意図的なことでは内部分で拒絶が発生する場合を考えてみましょう。それは、介護施設などでは日常茶飯事の現症です。これがまさに「認知症」という疾患が持っている特性によるものです。認知症は、日常生活技能が本来獲得したものを失う現象(以前説明を書いたかと思います)ですので、この障害によって、介護を受けること自体に理解が及んでいないことがあります。また、認知機能障害の中には、加齢現象の一部も含まれていますが、自制心が障害されている場合があります。その場合は妥協して我慢することもできなくなります。そのため、先ずは介護を受ける側として、何をされるかが理解されないため、介護者がしてくる行動が分からず、恐怖を感じている場合もあるでしょう。その場合は必死に抵抗するはずです。「襲われる」「ころされる」なんていう恐怖感を抱いている場合だってあり得ます。この夜に理解不充分な場合には抵抗を生じるのですが、さらに、自制心が低下していれば、攻撃に転じられることもあります。いわゆる仕返しのようなものですね。理解が不充分であればあるほど報復という形のものが発生する可能性があります。

 最後に理解を阻害する因子が発生している場合に誤解を招いてしまって抵抗してしまう場合があります。年齢とともに、視覚、聴覚、嗅覚などは著しく低下していきます。そうすると、感覚が低下している中で、介護などのケアが施される場合、理解が妨害されていることがあります。そうするととんでもない誤解を招いてしまい、先ほどのように恐怖などを感じてしまうこととなり、抵抗されることにつながることがあります。さらには、意識状態も混濁している場合もあるでしょう。この意識混濁状態は、身体の病気などが合併しているときによく発生するせん妄という状態は代表的です。病院に入院した方の介護抵抗のかなりの割合にこのせん妄という症状が発生していることがあります。